ありがとう１*倉持side* ページ48
(倉持side)
御「くーらもち。こんな所で何してんの」
倉「ゲーム」
部活が終わり晩飯も食べ終え、俺は寮の外に置いてあるベンチに座ってゲームをしていた。
御「外でゲームなんて珍しいじゃん。沢村は？」
倉「降谷と春市が部屋に来てっから、邪魔かと思ってここでゲームやってんの」
御「うわ、倉持にくせに後輩に気を使うとか今夜は台風か」
倉「シバくぞメガネ」
ゲームから目線を外さず、適当に御幸のボケに言葉を返す。いつものパターンだった。
御「暗いところでゲームやると目悪くするぞー」
倉「現在メガネのお前に言われたかねーわ」
御「うるせー」
倉「あ゛！？おいッ！」
適当に言葉を返していたらとうとう御幸からゲーム機を奪われ、そのまま電源を切られてしまった。
チクショウ！！セーブしてねぇのに！
倉「なに消してんだよ！セーブしてねぇっつの！」
御「ハッハッハ、残念残念」
倉「っとに余計な事しかしねーな」
ベンチに座ったまま、俺の向かい側に立ちヘラヘラと笑う御幸に睨みを効かせる。
御「てか小豆は？」
倉「さっき食堂で見かけたけど、その後は知らね」
御「小豆の部屋に行ったんだけど居なかったんだよなー。風呂にでも入ってんのかな」
倉「覗きに行けば？」
御「変態かよ」
倉「変態だろ」
御「違うし」
ムスッと唇を尖らせる御幸に、俺はケラケラと愉快に笑う。
久しぶりに夜に御幸と二人きりになる。
前までは何度もこうして御幸と二人きりで喋ったっけ。
ま、俺が強引に御幸を外に連れ出してただけなんだけどな。
御「なぁ倉持。久しぶりにバッティングに付き合ってよ」
倉「えー？お前の？」
御「前までよく誘ってくれてたじゃん」
倉「あー…まあな。最近お前とバッティングしてねぇもんな」
数週間前のことを思い出す。
御幸のことが好きだったから、沢村に先を越されないようにと御幸をよく連行していた。
倉「最近バッティングどーよ？」
御「んー…イマイチ」
倉「下手くそになったんじゃねーの、ヒャハハッ！」
御「いやそれはない、俺に限ってそれはない」
御幸は話しやすい。
なんつーか、腹を割って話せる仲間。
御幸がなにか抱えていても、御幸がなにか言いたそうにしているのも、俺はすぐに見抜ける。
逆もそうだ。
俺がなにか抱えている時、なにか言いたそうにしている時、御幸は必ず察してくる。
だから俺は、御幸が好きなんだ。
俺のこと、分かってくれるから。
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作者名：磯野
| 作成日時：2017年9月5日 23時
