譲らない１*御幸side* ページ28
(御幸side)
『…へ？』
ほら見ろ、この顔。ぷくく、驚いてやんの。
やっぱり小豆は俺の気持ちに気付いていなかった。
俺が小豆を好きだって気持ち。
俺が告げた言葉に、小豆は丸い目を更に丸くさせて驚いている。
はっはっは、可愛いな。
御「だから、俺ら付き合ってみない？って言ってんの」
『…っえ、なんで？』
御「なんでって、言わなきゃダメ？」
小豆が寝転がっているベンチに肘をつき頬杖をしてニヤリと口元を歪めれば、小豆は顔を真っ赤にして両腕で顔を隠した。
なにその反応。
わざと？天然？可愛すぎだっつの。
御「あり？なんで顔隠しちゃった？」
『ぅぅうううっせ！帰れ！！』
御「いやいや小豆さん、午後の授業受けなきゃ監督から怒られるだろ」
『だ、黙れ！帰れ！教室に帰れって言ってんだよ！』
御「なーに怒ってんだよ、小豆。俺、小豆を怒らせるようなこと言ったっけ」
頑なに俺に顔を見せようとしない小豆。
よっこらせ、と年配向けの言葉を零しながら腰を持ち上げベンチに寝転がる小豆の上へと上体を被せた。
小さく震える小豆の両腕を掴みゆっくりと解かせれば、真っ赤に染まった小豆の顔が現れる。
ほーら、可愛い。
滅多にこんな顔しないから、余計にね。
御「で、返事は？」
『無理』
御「へ？ちょ、おいおい。ちょっとは考えるってことしてくんねーのかよ。さすがに傷付くわ」
『まじ無理。俺すげぇ好きなやつがいて…』
御「うん、知ってる」
『…え？』
何となく、勘づいてた。
小豆の好きな奴のことくらい。
俺は小豆のこと、ずっと見てるから。
ずっと目で追ってたから。
小豆の小さな変化くらい見抜けて当たり前の事なんだよ。
小豆の両腕を引いて上体を起こさせ、俺は地面にしゃがみ込んで小豆を見上げる。
まるででかい子供をあやす母親になった気分。
ま、母親の気持ちなんてよく分かんねぇけど。
小豆の手を両手で握り、強弱をつけて何度か握れば小豆はおろおろと黒目を左右に動かして慌てる。
いつもの冷静な小豆はどこ行っちゃったんだろうなー、はっはっは。
御「小豆」
『お、…おう』
御「俺さ、小豆を幸せにできる自信あんだよね」
『……ど、どっから沸くんだよ、その自信』
御「ハハッ、ずっと小豆を見てきたからな」
『…よくそんな恥ずかしいセリフ言えるよな』
御「まあな。小豆が相手だと言えるわ」
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作者名：磯野
| 作成日時：2017年9月5日 23時
