【ダ／イ／ヤ／の／A】今までもこれからも大嫌い！１ (ページ14)

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包帯１倉持side ページ14

(倉持side)

青道のチーター様、とは俺のこと。その名の通り足が速い、馬鹿みてぇに速い、光の如く速い。

盗塁は俺に任せとけ！と、胸張って言える。

足に自信があるからこそ、足のケアは欠かせない。万が一怪我でもしたらたまったもんじゃねぇしな。

…それなのに、…やっちまった。

御幸には絶対に言わねえ。アイツは野球のことに関してはババア並に口うるせえから。

最近足の爪が伸びてきて、そろそろ切らなきゃなと思ってた矢先。……足の爪が割れた。

風呂上がりに足の爪先に激痛が走り、痛ぇと思って見てみりゃこのザマよ。

あーあ、俺としたことが…。

部屋に戻っても口うるせえ沢村がいるし、心配性の増子さんがいるし…、だから部屋から出て誰かが来ないうちにとベンチで足に包帯巻いてる最中の俺。

倉「うわ、…ぱっくり割れてんじゃん…最悪」

痛々しい自分の爪を見れば、もっと早めに気付いて切っておけば良かったと深く後悔する。

これ明日走れるか…？
いや、なんとしてでも走ってやる。御幸にバレないように。御幸に心配かけないように。

足に包帯を巻くだなんて珍しいことをすれば、やっぱり上手くいかないもんで、包帯はぐちゃぐちゃ。

これじゃあ意味無え…。

試行錯誤しながら頑張ってみるも、上手くいかないもんは上手くいかない。

…だんだん腹が立ってきた。

倉「あ゛ーーーーッ！！どうにかしてくれ、マネージャー！！！！」

『はーい、もちもち専属マネージャー参上しましたよー』

倉「お！いい所に来たな！ちょいこれ、巻いてくんね？やり方が全然わか…、……あ゛！？」

もちろんこの男性寮に女性がいるわけもなく、ましてはこんな夜遅くに女子生徒がうろついているわけもない。

そう、そこに現れたのは俺が一番嫌いな男、小豆ゆづるが立っていた。

風呂上がりなのか、首にタオルをかけてパジャマ代わりであろうTシャツに短パン姿の小豆。

短パンから伸びる白い足がこの暗闇の中目立っていた。

俺は威嚇するように小豆を睨みつけ、距離を取ろうとベンチの端に移動した。

倉「…なんでいんだよ」

『風呂上がりだから』

倉「ならさっさと部屋に戻れよ」

『足怪我したの？』

倉「人の話聞いてる！？」

小豆を邪険にするもいつの間にか俺の目の前に立ち、割れた爪をじっと見下ろす小豆。

チクショー…コイツにバレたら次期に御幸にもバレちまう…。