77 はしる ページ13
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「非番だな！？」
「はい」
「たいへん都合がいい！！
付き合え！！」
「はい！」
って、いつもの勢いで返事しちゃったけど、一体何に付き合わされるんだろ？
***
杏寿郎様に山に連れて来られた。
比較的若い隊員達がわんさかいる…。
どうやら今日は後輩の育成みたい。
見込みがあると声をかけられたのか、それとも自主的に集まっているのか。
さっきから杏寿郎様にキラキラと憧れの眼差しを送っている、額に痣のあるあの男の子。
鬼を連れていると噂の子だろうか？
あそこにいる子、黄色い髪色をしてる！珍しいな……って、もしかして立ったまま寝てる！？器用だなー！
うわわ、その横の奴、猪の被り物をしてるじゃん！しかも上半身裸！？
やばっ…絶対変態だし…あまり目を合わせないようにしよ。
「みんな！今日もしっかりと鍛えていこう！まずは走り込みだ！！
ついてこい！！」
「ひーっ」
「うわぁ…またかよ」
杏寿郎様は山道を縦横無尽に駆け出した。
他の隊員達は声にならない弱音を吐きながら一人脱落し二人脱落し、あっという間に置いてきぼりだ。
「待ってくださいよー！」
一瞬でも目を離せば見失いそうになる背中を、気付けば必死で追いかけていた。
育成の手伝いかと思いきや、これじゃぁ私まで鍛練させられてるじゃないの。
つい昨日まで任務だったってのに休む暇無しかよ！
めっちゃしんどいよぉ！
「はははっ！！
まだまだ鍛練が足りないな！今日も誰もついて来られな──い！？」
後ろを振り返り、ひたりとついて来ていた私の存在に気付いた杏寿郎様は、右目ン玉が飛び出さんばかりに驚いているようだった。
ははぁ、この様子だと、いっつも誰もついて来られて無いんだろうな。
というか、もしやここまで来たのは私が初めてでは？
…まぁ今まで散々、その背中を追いかけてきましたからね。
犬の時とは脚も走り方も違うけれど、それなりには鍛えられて来てますから。足には自信ありますよ。
「はぁはぁ、……何か？」
「いや、さすがだと思ってな！
ここまでついて来られるとは素晴らしい！！よくやれている！！さすがはAだ！！」
「うわはーい！ありがとうございます！」
わしわしと豪快に頭を撫でられたから、他の隊員が居ないのをいいことに、ここぞとばかりに大喜びしちゃった。
やっぱり褒められると嬉しいねぇ！
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作者名：皿 | 作成日時：2022年10月2日 15時
