拾参 ページ14
「煉獄さんは誰も死なせなかった
逃げるな卑怯者
煉獄さんは守り抜いた
お前の負けだ
煉獄さんの勝ちだ」
陽光から離れようと逃げていく鬼に向かい
炭治郎がこんな感じに叫んだ
この状況下で炭治郎が放った言葉は
正確には覚えていられなかった
ただ覚えているのは逃げていく鬼に対し
逃げるな 卑怯者
そして命を懸けて闘ってくれた炎柱様に対しての敬意
煉獄さんは守り抜いたと
ずっと叫んでいた
すると煉獄さんは
「もう大丈夫だ
少し話をしよう
勿論A少女もだ
こちらに来てくれ」
そう言って近場に座るように
目線で促してきた
私たちは促されたままその場に座った
すると煉獄さんはゆっくりと話してくれた
炭治郎に対して
伊之助に対して
善逸に対して
そして彼自身の父親・弟さんへの伝言
最後に私に向かって
多分今の感情を読まれてたのだろう
こうおっしゃていた
「俺がここで死ぬのは気にするな
A少女のせいではない
柱ならみんな同じことをするからな
宇髄でもしていただろう
だが宇髄は強いから
恐らく上弦が相手だったとしても
負けることはないだろう
だからA少女が今回の事を気にする必要はない
むしろ気にするな
A少女が過去に何を体験して
どのような形で宇髄と出会ったのかは知らないが
宇髄は君のことを一番信頼しているぞ
だから宇髄の為にも
そして俺の為にも
胸を張って生きろ
大丈夫だA少女なら出来る
信じているぞ」
そういった時日が昇り
腕に残っていた鬼の肉片が灰となり
煉獄さんの腹部の隊服がより血で滲み出したが
少ししてそれも終わった
炎柱様から気配が消えたのと同時に
初めて感じる喪失感
失うものの気持ち
そして託された約束は果たすことが出来ない罪悪感が込み合出てきた
そして心の中で何度も謝った
私は貴方に信頼されていい“物”なんかじゃありません
私は師範と違い汚い血族のものです
師範のような人間としてのことを何も知らなかったんですよ
だからお願いです。
本当に私なら出来るのでしょうか…
師範が信頼してくださっているのは間違えです
だって私のほうが
師範の事を
ーーーーーーーー
また約束を破りたくないんです。
また……?
今まで破ったことってあたっけ?
思い出せないな
記憶の中では約束は全て果たしてきている
ただどうしても思い出せない部分が
記憶の中にずっとある気がする
誰の記憶なんだろう
他人の
私の?
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作者名:ワンワン | 作成日時:2021年7月31日 17時