どうかその笑顔が絶え間なくありますように (ページ10)

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第8話ページ10

夢主side

『…ｯ』

姫である事に間違えはない

けれど、堂々と姫を名乗れる様な立場でもない

«お姉ちゃんを見習いなさい»

姫と名乗るに相応しいのは、姉の方であって

私ではない

「…？おい、聞いてんのか」

「ニジ」

「あ？」

「父上がお待ちだ。これ以上の無駄話は後にしろ」

イチジさんの言葉に、ニジさんは小さく舌打ちをして私の傍から離れて行った

…あれ？今…

「…？何をしている。早く来い」

『は、はい』

気のせいだろうか

途中、ニジさんがイチジさんの横を通り過ぎる際、一瞬だったけど、何かを話していた気がする

予想通りだな

あァ、アイツは姫として扱われてないぜ

私は今、イチジさんとニジさんの間に挟まれながら城へ向かっている

こうなってしまった原因は私にあり、3人で城へ向かおうとした際、再度ドレスの裾を踏んずけニジさんに体当たりをかまし、キレるニジさんをイチジさんが収め、また転ばれては困るとこの立ち位置になったのだ

圧が凄い…

主にその圧はニジさんから感じる

他の兄弟達もだが、2人は8年前と比べて随分と身長が伸びている

正直昔の印象しか残ってない私には違和感しかない

けれど、転んだ時に気づいた

子供の頃とは違うイチジさんとニジさんの力強さと逞しさ

子供の頃にも、転けてニジさんに体当たりをした事がある

その時はニジさん諸共倒れ込んでしまった

今回も同じ不意打ちだった筈なのに、倒れ込むどころか、少し乱暴気味ではあったけど腕を引いて支えてくれた

私と1歳しか歳が変わらないのに、男女というだけでこうも変わっていくものなのか