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第34話 ページ36

ニジside


レイドスーツのまま案内された部屋に行くと、医療ベッドに横たわる自分の婚約者が目に入った


嘘だろ マジで寝てやがる


呑気に寝てる姿にイライラしながらベッドに腰かけると、乱暴に座ったせいかベッドが大きく軋んだ


『ぅ…』

「……」


悪夢でも見ているのか、うなされながら体を身じろぐ姿に、どんな顔をしているんだろうと、興味本位で腰をかけた場所から体を伸ばし、顔の両脇に手を置いてAの顔をじっと見つめた


思えば、いつぞやの誰かも同じ事をしていた

人の顔を見るなり瞳が綺麗だの寝顔が素敵だの…くだらねェ事を言っていた


「…おい」


けど、初めてだった

俺の瞳を見たがる奴は、決まって不気味なコレクションを集めてる変態か、掘り出し物を見つけたかの様に大量の札束を差し出す強欲な金持ちだけ


「おい、起きろ変態女」


純粋に綺麗だと言ったのは、お前が初めて


これは何だ

何でこんな気持ちになる

訳の分からない事続きでイライラがおさまらない



『ん……、…ッ!』


ゴンッ!!!


目が覚めた

そう思い声をかけようとしたら、何故か勢い良く起き上がり盛大な頭突きを食らわされた


「テメェ…この変態女…ッ」


想像以上の石頭に、顔を押さえながらも元の位置に座り直した

が、様子を見に来てやったにも関わらず、起きて早々頭突きをかまして来た事に対しての苛立ちは募っていく


『ニ…ニジさん…?』

「あ゛?」


当の本人はまだ寝惚けているのか、俺をじっと見つめたまま固まってしまっている


『ニ、ニジさ…ニジさん…!』

「だから何だよ! …ッ!?」


今度は俺が固まる番だった

Aは俺の顔を見た途端、涙を流し抱き着いて来たのだ


何故かずっと、俺の名を呼びながら

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作者名:mami | 作成日時:2020年9月19日 4時

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