どうかその笑顔が絶え間なくありますように (ページ27)

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第25話ページ27

夢主side

ようやくイチジさんの部屋の前に辿り着き、軽く扉を叩こうとすると、何故か叩く前に部屋の扉が開かれた

「入れ」

『は…はい』

私が部屋に入ったのを確認すると、イチジさんは部屋の扉を閉め、ソファーに腰かけた

「ニジとはやって行けそうか」

『へ？』

何のお話だろうと緊張していたが、開口一番にまさかニジさんの話をされるとは思っておらず、思わず素っ頓狂な返答をしてしまった

「どうなんだ？」

『… 優しくして頂いてるので、大丈夫ですよ。時たま怒らせてしまう事もありますけど…なんとかやって行けそうです』

「…そうか」

顔の表情を変えずに私の言葉を聞いている姿を見ると、やはりイチジさんはご兄弟の中で1番冷静沈着という言葉が似合う人だと思った

でも、どうして私を部屋に呼んでまでその事を…

そう考えた途端、ある人物とイチジさんが重なった

『…ふふっ』

「…？何だ」

『いえ、やっぱり4つ子なだけあって似ているなぁ…と』

「？」

『私とやって行けるかどうか、心配していたんですよね？ニジさんのお兄さんとして』

わざわざ私を呼んでその事を聞いたのは、ニジさんに聞かれたくなかったから

素直じゃない所はニジさんとそっくりだ

私がそう言うと、イチジさんは私の顔を見つめたまま黙り込んでしまった

「……心配…か」

それだけを呟いてソファーから立ち上がると、椅子の背もたれにかけてあった上着を私に手渡し、優しく頭の上に手を置いた

「それはAの方だ」

『……え？』

思いかげない言葉に思わず顔を向けるが、イチジさんは私の顔を見る事無く頭から手を離し、そのまま扉の方に歩いて行ってしまった

「その上着は父上からお前に、だそうだ。話は以上。部屋戻って着替えて来い」

それだけを言い残すと、また私の返答を待たずに部屋から出て行った

『……大人っぽいなぁ』