どうかその笑顔が絶え間なくありますように (ページ22)

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第20話ページ22

夢主side

眠っているニジさんを起こさぬ様、極力音を立てない様にして近付き、緊張で震える手で服の裾を掴み額をニジさんの背中にくっ付けた

布団よりもニジさんの香りを強く感じる

けれど、安心感と同時に脳内を駆け巡るのは、父親のあの言葉

«分かっているな»

私がこの縁談でやらなければいけない事は

ヴィンスモーク家の科学力を盗みそれを伝達する事

つまりそれは、ニジさん達を騙すという事

『……ごめんなさい』

「……」

『貴方達にも…人としても最低な事を、私はやらなくちゃいけない…』

返って来る筈の無い言葉を、ぽつりぽつりと呟いていく

こんな事をしたって、罪の意識が消えるわけじゃないのに

背中から額を離し、ふとニジさんの頭に視線を移すと、ヘッドフォンは外されているのに、何故かゴーグルが外されていないことに気付いた

そういえば、私はニジさんの素顔を見た事が無い

子供の頃からずっとゴーグルを着けているし、ゴーグル越しに瞳を見る事はあっても、それは一瞬だけ

『……』

一瞬だけでも素顔を見てみたいと好奇心が高まり、横を向いて寝ているニジさんの顔隣に手を置き、もう片方の手でゆっくりとゴーグルを上にずらした

『わぁ…』

普段は眉間に皺を寄せている事が多く、どちらかと言うと怖い印象の方が強いけれど、ゴーグルを取るだけでもだいぶ印象が変わってくる

元々ヴィンスモーク家の方達は整った顔立ちをしているが、一瞬だけと思っていたのに、普段見る事の無いその寝顔には釘付けになってしまった

「惚れ直したか？変態女」