30話 ほうっておいてよ ページ35
ー夢を見た。
3人の人間の話。同じ顔をして、同じ白で塗られている。
1度瞬きをするとその中の2人に色が付いた。鈍色の染みが、真ん中の子を食んでいく。
一方、右端の子は金色の、まるで蜂蜜のような色が薄ら付いただけだった。
3人は大きい腕に抱えられて同じ距離を進んでいた。
だが、金色の色の子は突然腕が離されて座り込み、暫くして引きずられるようにして進んだ。
ずっと抱えられていたのだから自力で前に進めないはずなのに。
2人に追いついた時、その子を引きずられていた物が見えた。
「…錆びた鎖だ。」
金色の子は黒ずんだ鎖で縛られていたのだ。時々痛みから上がる声は聞いていられないほど苦しそうだった。
鈍色と白の子を見ると、2人は鮮血のような赤が体のあちこちに刻まれていた。何度も刻まれ、重なった赤は深みを増している。白かった赤い子は軽そうなリュックを背負っている。だが、反対に鈍色も入った赤い子はボストンバッグ、スーツケースと荷物が多い。皮肉なことに、白かった子が成長しても荷物は変わらないのに鈍色の子はどんどん増えていく。
2人が初めの2倍まで成長した時、荷物持ちの子は一回り小さい金色の子と合流した。
そして、白かった子と会った。
大きくなりながら飛んだり跳ねたりして楽しそうだ。
でも、荷物持ちの子はどんどん俯いていく。なぜなら、荷物が多すぎて前が見えないからだ。時々金色の子が持ってあげているが、2人で抱えきれないほど重いらしい。
すると、鈍色の子が1人増えた。半透明だ。
その子が鈍色の子の代わりに荷物を持ち、自由の身となった本体は走り出した。
そして走り出した彼を見て、赤い彼も走り出し、偽物と金色の子も遅れてついていく。
後ろには抱えきれなくなった荷物と黒い墨のような物が残されていた。
「ねぇ、もうわかったんでしょ？この先見なくても。」
…荷物持ちの偽物が荷物を持てなくなる。
そして、本物は荷物を持ちにまた戻る。
「なんだ、わかるんじゃん。」
だから、だからなんだよ。
「え、賢い貴女ならわかると思ったのに。
分かんないから見ないふりするの？」
っ！！！そんなことはしてない！！
「貴女もいつかはここから立ち去るのよ」
僕はまだここで、ジャミルとカリムと勉強する…
「いい加減現実を見なさい。
もう我儘は通じないのよ。
怖がらないで立ち向かいなさい。」
お前に、
僕の、
私の、
何が分かるんだよ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 50人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
風鈴(プロフ) - 悠風ごめん、コメント見てなかった。リクエスト答えてくれてありがと。横笛…かっけぇな、軽音部からの熱い勧誘は怖い… (2020年11月9日 0時) (
レス) id: cf698666c3 (このIDを非表示/違反報告)
悠風(プロフ) - 「風鈴さん、質問ありがとう！絵以外だったら、楽器を演奏することが今ハマってることだな。カリムが太鼓でジャミルがギター。僕は横笛を吹くんだ！僕の演奏をリズムに、二人が踊ってくれることもあるよ！軽音部からの熱い部活への勧誘もあったっけ……」 (2020年10月26日 21時) (レス) id: a4b29a8b8f (このIDを非表示/違反報告)
風鈴(プロフ) - 夢主ちゃんの最近ハマってるものは？(絵以外) (2020年10月25日 22時) (レス) id: cf698666c3 (このIDを非表示/違反報告)
悠風(プロフ) - 星猫さん» 了解です！！ (2020年10月25日 17時) (レス) id: a4b29a8b8f (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - すみません；；自分のログインが苦手で…；；私の作品がこの作品で会話しよう！を会話しませんか？ (2020年10月19日 19時) (レス) id: dba8a79b51 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：悠風 | 作成日時：2020年10月9日 23時
