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*
『いった、ちょっと押さなくてもいいじゃん』
「お前さ、何考えてんの？」
光成に手を引かれて連れて行かれた場所は使われていない階段。
私を押して階段に座らせるなり、床ドンだかなんだか知らないけど光成の手が私の肩ら辺にある感じ。
光成は何か言わせたい様子だったが何も分からない私は答えることが出来なくて黙っていた。
「何が気に食わなかったんだよ、」
『別に何もないけど…』
「ならなんで俺の事避けんだよ」
『だって元彼だし、彼女いたじゃん…フリだったけど』
「あいつとは本当に何も無いんだって」
『証拠がないじゃん』
「はぁ、じゃあ全部話すよ」
そう言い光成は私の隣にピッタリとくっつくように座った。
少し頭を抱えながら重い口を開く。
「Aと別れた後に急に距離縮めて来たんだよ、なんか訳分かんねー事言い出して付き合うフリしてくれなきゃ元カノさんの身が危ないとか言い出してさ」
『うん、』
「別に自分の事なんかどうでも良かったからフリでもしたんだけどやっぱり忘れられなかったんだよ」
『じゃあ、なんであの日振ったの？』
「Aの人生の邪魔をしたくなかったんだよ」
『え？』
「いや、俺束縛とか結構凄かったと思うし別れた後に化粧もして前よりも可愛くなったの見てやっぱり俺って必要なかったんだなって思った」
『…そんなことないよ、』
「え？」
『光成が思ってる以上に私は光成のこと好きだったよ…束縛なんて全然思わなかったし寧ろ幸せだったなって』
「でも、それももう過去形なんだよね」
『光成はそうなの？』
「いや、俺はまだ好きに決まってる…ちゃんと1人の女の子として」
『なら良かった…私もう嫌われちゃったかと思って』
「え、待ってどういうこと？」
『言わせないでよ恥ずかしい』
「あー、待ってめっちゃ幸せだわ…もうめっちゃ好き」
『ねぇ、苦しいw』
「いや、もう本当にごめん…傷付けた」
『いいよ、私だって酷いことしちゃったし』
「とりあえず教室戻ろっか」
『そうだね…』
そう言われさっきとは違う手の繋ぎ方で教室に向かう。
付き合ってる頃も手を繋いで教室になんて入ったこともないしなんだか恥ずかしい気もするけど、これもまた新しくていいのかもしれない。
教室に入った途端に葵が光成の事をぶん殴ろうとしたのはびっくりしたけどね。
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作者名：くるるん | 作成日時：2020年11月24日 20時
