一目惚れ、しました。

正直に、話しました。 ページ49

次の日、昇降口ですれ違うだけで、もちろんおはようも言ってくれないソミに、声をかけた。



｢そ、ソミ！｣



ソミが止まって、振り返る。

その表情は、いつも分かるのに、何を考えてるのかわからなかった。



｢全部、話す。

…ソミの正直な反応でいい。

だから、聞いてほしい｣



頑張れ、自分。


勇気を出せ。



ソミは、ニコッと笑って、うん、と言った。



教室に入ると、まだ誰もいなくてふたりきりだった。



チャンスは今しかない。


ほかの人が来ないうちに、ソミに全てを話した。ジニョンに、話した時のように。



｢…A。そんな事があったのに、どうして、その日のうちに言ってくれなかったの？｣


ソミは、悲しそうな顔をした。


｢ごめん。本当にごめん。

…ソミは、先生のこと気に入ってたでしょ？

…がっかりされるのは嫌だった。あと、それが先生じゃなくて別の人だったとしても、私には勇気がなくて、話せなかった｣


ソミは私の手を両手で包み込んで、言った。


｢違う。そういうことじゃない。

A、その日寝れた？

怖くて寝れなかったでしょ？

怖くて、辛い時には他の誰でもなくて私が、このチョンソミが、大切な友達として、Aのそばにいてあげたいの。

全部受け入れるから、私に話してくれれば、それが一番嬉しかったの。

私はちょっとおっちょこちょいで、変わり者で、でも気が利くAが大好きだよ？

そんな話で嫌いになるわけないじゃん。

ソミさんのこと、舐められちゃ困りますねえ。


…ねえ、なんで泣いてるのよ｣



気がついたら、涙で視界が見えなくなっていた。


嬉し涙。



ソミに、こんなに思われてるなんて知らなかった。




｢…あの時、何も話せなくてごめんね｣



｢まあ、あの時はかなりショックだったけど？

でも、仕方ないじゃない。私でも話せないもん｣



ソミは、泣くなってー！と言いながら、私を強く抱き締めた。


もう、ソミ。君はこの世界の誰よりも男前だよ。




｢ううう｣



｢いい加減泣き止みなさいって。
みんな来ちゃうぞ？｣



｢分かってるよー、分かってる｣



｢もーほんとに、可愛いんだから〜｣





本当に、ソミという友達ができてよかった。

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