一目惚れ、しました。

底にあった、メッセージ。 ページ34

「じゃあ、マカロンのにします」


「オッケー、じゃあ、ダニは桃のタルトだっけ？」


「うん！」


黒髪さんはてきぱきと飲み物も注文表に書き込んで、「少々お待ちください」と微笑んで消えていった。



「あの人ね、同じ高校の先輩なの」


「あ、そうなんだ！」


私の記憶が正しければ、名札には、【ファン・ミニョン】と書いてあったはず。


「同じダンス部の先輩でねー、一個上なんだ」


「あ、俺ダンス部なの」と自分のことを指差してちょっと恥ずかしそうに微笑む7時くん。


「ああ、さっきデフィくんから聞いたよ」


「え、デフィと仲いいの？！ソミちゃんが仲いいのは知ってたけど」


「そうそう。ソミつながりで仲良くなったんだ〜」


「デフィすごくお茶目だよね。

仕草とか『やーっ！』って叫ぶとことか女子かっていっつも思うもん」


「わかるわかる！」




ワチャワチャ話して盛り上がっていると、ミニョンさんがケーキを運んできた。



「お待たせしました、桃のタルトとマカロンケーキです。

あと、アイスミルクティーがお二つです」


カタ、とお皿の音とともに置かれたケーキを見て、ごくんと唾を飲む。

美味しそう...



そして食べ始めたケーキは、あっという間になくなってしまった。


悔しい。別腹をちょっと恨むぜ。




お会計は、ダニくんがどうしても譲ってくれなかったので払ってもらうことにした。


そしてテイクアウト用の飲み物まで買ってもらってしまった....申し訳ない。




帰り道。




いつの間にか暗くなってしまった夜空を見ながら、ちゅーと、先ほど買った生クリームが乗ってる商品名が長いなんとかかんとかってやつを美味しそうに飲む７時くん。


あまりにも美味しそうに飲んでるので、同じものを飲んでるのに７時くんの方が特別なんじゃないかと思ってしまったほど。


こっそり、写真撮っときました。




「...ん？」



「どうしたの？」



もう中身がほとんどなくなった容器の中身を探るようにストローでいじっている。



「なんか...底に何か書いてある」



そこ？



あっと、７時くんが声を漏らした。



「何も書いてなかった」



てへっと舌を出す。



「ちょっと〜、期待させないでよー」



「ごめんごめん」



そのあと、駅で私たちは別れた。



.




.





.





【あの子、すごいい子だよ。

大切にしな。

byミニョン】

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