一目惚れ、しました。

君を、知りたいです。 ページ3

｢…で、灰色のブレザーに青いネクタイの学校、だっけ？｣

｢うん、そう｣

机を向かい合わせにしてうーん、と考え込むおめめパッチリのこの少女。
名前はソミ。

高校で友達できるかな、が一番の不安だった私の悩みを高校生活一日目にして取り去ってくれた神の人。

フレンドリーで、すごく明るい。そして何よりその性格からか、顔が広い。ソミが私が見たこともない人と楽しそうに喋る度に、この子ははもしかして宇宙にまで人脈が繋がってるんじゃないかと思ってしまうほど。

｢そんな学校、知らないけどなあ〜｣

どうやらあの男の子は、そんなソミでも知らない学校に通っているようだ。

眉間にシワを寄せて、その子ってどこの駅で降りるの？と聞いてくるソミに、だから私の方が先に降りちゃうんだってばともう五回は言ったであろう言葉を言う。

｢あー、そうなのかあ｣


その時、近くを通りかかった男子にソミが声をかけた。

｢ねえねえデフィ。聞きたいことあるんだけどさ｣


デフィと言うらしい声をかけられた小柄の男の子は、なになに、と興味ありげに近くの誰のか分からない椅子を引っ張り出してきて座った。



｢あのさ、灰色のブレザーで青いネクタイの学校って知らない？｣




デフィくんも、ソミと同じようにうーん、と眉間にシワを寄せて唸り、｢わかんないなあ｣と言った。


｢そっかあ。ほかに知ってそうな人は？｣


｢え、ソミでもわからないの？

だったら知ってそうな人なんてジャクソンくらいしかいないんじゃない？｣

ジャクソン、とソミがぷっと笑う。


｢ジャクソンって誰？｣


目を見開いて驚くデフィくん。
まってまって目が落ちちゃいそうで怖いからその顔やめて。



｢あのさ、C組のちょーうっさいやつ。
いつも廊下で騒いでるじゃん。

『ワンは世界を制する』とか馬鹿げてること言ってる奴だよ｣



｢あいつはかなりクレイジー｣とソミと同じように小馬鹿に言うデフィくん。



｢え、あの人？

待って絶対聞きたくない｣


あの人に話しかけたら頭の中が狂ってパリピになりそう…

パリピになった自分を想像し恐怖に怯えていると｢だから、私が知らないんだからあとはそいつに聞くくらいしかないんだよ｣とオンニじゃないのにオンニオーラ全開のソミ。

｢勇気は一瞬、後悔は一生！｣と拳を上げるソミに一言。


｢あいつ、話通じるのかね｣


デフィくん、それ私も思ったよ。

どうやら彼のことを知るにはかなり苦な道を通らなければならないらしい。

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