もう戻ってこない ページ24
「…あれ」
もとの場所に戻ってきたのはいいものの。
「…どこ行った?」
先程の二人がいないのですが。
嫌な予感が頭をよぎる。
もしかして、と思って回りを見渡すも、二人の姿は見当たらない。
二人で、どこかにいってしまったのだろうか。
なにか連絡来てるかな、と携帯を開くと予想通り君から目の前のカフェにソンウさんといる、という連絡が来ていた。
カフェに入ると、壁側の席で俺に気付いて手をふる君。その机を挟んだ向かい側に彼は座っていた。
「ジニョナー、いろいろごめんね?」
「ううん。俺も遅くなってごめん」
トイレ行ってた、と質問から逃れるための嘘をつくと、君はその裏に潜む俺の気持ちにも気づかず、そうなんだ、とソンウとの会話に戻った。
なんだか、胸がいたいな。
ソンウさんは一人でショッピングモールに来たのかな。
…早く、どこかに行ってくれないかな。
なんて、物凄く失礼な気持ちが胸に浮かんでは、そんなの失礼でしょっていう反抗の気持ちと浮いたり沈んだりする。
ソンウさんの表情を盗み見する。彼は楽しそうに君と話していた。
いつもバイト先でソンウさんと話してるんでしょ?今日は俺と出掛けに来たのに。
「ジニョン、どれ食べる?」
確かに、ソンウさんのほうがスタイルもいいし明るいし、話上手だし、場を盛り上げるのにはぴったりだと思う。一緒にいて楽しいのは、もちろん俺より彼だ。
…でもさ、A。
今日は記念日だよ。二年記念日だよ。
今日だけは、誰も間にいれないで二人で一緒にいようよ。
「…ジニョン?」
「…今日だけは」
「…へ?」
はっとした。驚く君を見て、心の声が外に漏れていたことに気づいた。
同時にソンウさんの姿が目に入り、もやもやが心に浮かぶ。
「ジニョン、大丈夫…?」
そっと、手を伸ばしてくる君。
ごめん。やめて。
今更、気にかけるなんてしないでよ。
「…っ、ちょっと、ごめん。
気分が悪い」
トイレ行ってくる。と必死の嘘をついて、逃げるようにその場をあとにした。
胸が太い鎖で締め付けられたように痛くて。頭をよぎるのは俺が席をたった瞬間にソンウさんが見せた黒い微笑みで。
…なんで、ソンウさんはそんなに俺を嫌う?
初めて会ったのに、そんなに嫌われる理由がわからなかった。とにかく苦しくて、一人になれる場所を探した。
こんなに自分が苦しくなる理由もわからなかった。
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gumi - nonさん» 初めまして!!わー!気づいていただけたのですね!すごく嬉しいです^^ 2の方にもコメントありがとうございます!!! (2018年4月2日 11時) (レス) id: b667432b9d (このIDを非表示/違反報告)
non(プロフ) - 初めまして!こちら読ませて頂いていますが"一目惚れしました"と話が繋がっているんですね^ ^こちらも楽しみにしていますので更新頑張って下さいね! (2018年4月1日 22時) (レス) id: 05e664ed41 (このIDを非表示/違反報告)
gumi - おりおんさん» ありがとうございます!!頑張りますね^^ そうなんです!!スキー ジャンプの予選で流れていました!! (2018年2月9日 15時) (レス) id: 23de9b5470 (このIDを非表示/違反報告)
おりおん - 続きがはやく見たいです…!続編頑張って下さい!! え、wannaoneの曲流れたんですか!?!? (2018年2月8日 22時) (レス) id: aee52d8b42 (このIDを非表示/違反報告)
gumi - baekdoさん» うわー!毎日待ってくださっているなんて!作者は本当に幸せです…涙 はい!気に入っていただける作品が書けるように頑張ります! (2018年2月8日 22時) (レス) id: 2d5ba8a921 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:gumi | 作成日時:2018年1月18日 17時