苦しみも取り除くから ページ20
ふと、空を見上げると、窓の向こうで雲の間をぬって太陽が輝いていた。
その視線をおろすと、広がるのは服屋や、文房具屋や、靴屋などのたくさんのお店。
そして右側を嬉しそうな表情で歩くのは、ベージュのコートを着ている君。
「ショッピングモールなんかで良かったの?」
そう問う俺に君は笑顔で返す。「うん!だってジニョンとこういうとこ来たことないじゃん」その言葉に、確かに、と納得して視線を君から前の服屋に戻す。
「なんか思い出になるものでも買おうよ!」
君に手を引かれて、その服屋に入る。
男性も女性も入れそうな雰囲気のその服屋は、カップルである俺らが入るには丁度良い空気だった。
これかわいい!この色いい!と手に取る服ひとつひとつに感想を述べていく君。その姿を眺めながら後ろを歩いていくと、茶色の髪をゆるく一つに結った店員さんに声をかけられた。
「なにかお探しですか?」
君がその声に反応する。「何か思い出になるようなものが欲しいんです」
店員さんはああ、と納得したような表情を大げさに見せて、でしたらこちらはどうですか?と二つのマフラーを差し出した。
両方とも灰色がベースになっているのだが、一つはそれに桃色の線が入っていて、もう一つは水色の線が入っている。
「わあ、綺麗ですね。
でも…季節関係なく使えるものがいいんです」
君のその言葉に店員さんは少し考えた後、こちらはどうですか?と全く違う種類のものを差し出した。
それは二つのブレスレットで、一つは桃色、もう一つは水色だ。どうやら店員さんには俺らが桃色と水色が似合うように見えるみたい。
君は俺をちらっと見てくる。だから、俺はこれ好きだよと言うと、満足そうに、これ買います!と元気よく言った。店員さんは満面の笑みで会計場所へと向かう。
その場所へ向かおうとする君に声をかける。
「Aはここで待ってて。
俺が買ってくる」
申し訳なさそうな顔をする君を制して、会計場所に向かうと、店員さんは相変わらずの満面の笑みで迎えてくれた。
「素敵な彼女さんですね」
「ありがとうございます」
「とてもお似合いです。
これからもお幸せにしてくださいね」
なんだか照れるなあ、と思いつつはい、と返事をした。店員さんから商品を受け取り、君の元へ戻ると、誰かと話している君の姿が。
反射的に立ち止まって様子を見る。
君が楽しそうに話す相手は、見知らぬ男の人だった。
182人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
gumi - nonさん» 初めまして!!わー!気づいていただけたのですね!すごく嬉しいです^^ 2の方にもコメントありがとうございます!!! (2018年4月2日 11時) (レス) id: b667432b9d (このIDを非表示/違反報告)
non(プロフ) - 初めまして!こちら読ませて頂いていますが"一目惚れしました"と話が繋がっているんですね^ ^こちらも楽しみにしていますので更新頑張って下さいね! (2018年4月1日 22時) (レス) id: 05e664ed41 (このIDを非表示/違反報告)
gumi - おりおんさん» ありがとうございます!!頑張りますね^^ そうなんです!!スキー ジャンプの予選で流れていました!! (2018年2月9日 15時) (レス) id: 23de9b5470 (このIDを非表示/違反報告)
おりおん - 続きがはやく見たいです…!続編頑張って下さい!! え、wannaoneの曲流れたんですか!?!? (2018年2月8日 22時) (レス) id: aee52d8b42 (このIDを非表示/違反報告)
gumi - baekdoさん» うわー!毎日待ってくださっているなんて!作者は本当に幸せです…涙 はい!気に入っていただける作品が書けるように頑張ります! (2018年2月8日 22時) (レス) id: 2d5ba8a921 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:gumi | 作成日時:2018年1月18日 17時