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ふっかの細くて長い、綺麗な指に私の髪が絡み付いてる。
彼に綺麗だと言われて伸ばした髪。
また褒めてもらいたくて、毎日欠かさず手入れをして。
ふっかが髪を指に巻きつけるたびに私の髪から香る、ほのかに甘い蜂蜜の香りにクラクラした。
熱い。
頬が、顔が、心臓が。
どくどくと脈打って、死んじゃうんじゃないかって思うくらい熱くなる。
好きでもない女に、平気でこういうことするところ。
ふっかのそういうところ嫌いだけど、嫌いになれない。
……だって結局、私はそれに落ちてしまうから。
「…お前さ、」
前髪から覗く、切れ長の目が私を刺す。
それにまた、小さく胸が鳴った。
ガタンゴトンと揺れる電車の音と、乗客がお喋りする声、誰かのいびき。
いろんな音が混じり合う車内で、ふっかが口を開く。
「……好きな奴、いるんだって？」
なんでそんなこと、彼が知ってるんだろう。
なんでそんなこと、彼が私に聞くんだろう。
「…前に照の車で送ってもらった日に、お前と照が話してるの聞いちゃって、」
ふっかが自分の指に巻きつけた私の髪を、そっと持ち上げてそこに視線を落とす。
その言葉に、ぴくりと私は固まった。
……聞いてたんだ、あれ。
じわりと私の背中に汗の粒が湧き出るような感じがする。
「前に飯食ってる時に俺が聞いたときはさ、今はいないって言ってたからどっちなのかなーと思って。」
ゆるっとした声が私の鼓膜を揺らす。
ねぇ、それは単純な興味？
それとも何か意図があって聞いてるの？
ーー次は〜、ーー
車内アナウンスが流れて、
「……あ、もう着くな。」
って、ふっかの手が離れていく。
ほんの少しの名残惜しさと、緊張から解放された安堵感。
バクバク暴れてた心臓がだんだん落ち着いてくる。
電車が駅について、私の横のドアが開いて、
「…降りよっか。」
そう言って彼が一歩ずつ足を進める。
何度も見てきたふっかの背中。
ずっとそれを追ってきて、だけど一向に距離は縮まらなくて。
もう6年も経った。
そしてこれからあと何年、私は同じことを繰り返すんだろうか。
その背中に向かって、私はゆっくり口を開く。
『……………いるよ。好きな人。』
出した声は震えて、喉に引っかかって変な感じになって、
前を歩くふっかの背中が止まった。
あのね、ふっか。
いるよ、目の前に。
ずっと私の目の前にいるんだよ。
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ひすい - 面白すぎて一気に見てます、、！ふっかさんと両片思いに歓喜しながら、めめやひーくん切なすぎて今泣きながらコメント書いてます。笑色んな感情がぶわ〜って感じです！最高です！ (2020年12月12日 23時) (
レス) id: 85cba31a0e (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - 名無し85099号さん» コメントありがとうございます！！そんな風に言っていただけて本当に嬉しいです！！最後までよろしくお願いします…！！ (2020年6月3日 13時) (レス) id: e5c6dc30ce (このIDを非表示/違反報告)
名無し85099号(プロフ) - ほんとに焦らされまくりました！本気でどの作品よりも主様のお話が一番好きです！大ファンです！最終章楽しみにしてます！ (2020年6月2日 21時) (レス) id: ead5991952 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - 凛華さん» こんにちは、コメントありがとうございます…！照もかわいそうな感じになっちゃいましたもんね…、どのような形でふっか以外の落ちも書くか、今いろいろ迷い中です…、とりあえずは完結まで明言はできませんが、今後もよろしくお願いします…！ (2020年5月28日 18時) (レス) id: e5c6dc30ce (このIDを非表示/違反報告)
凛華(プロフ) - こゆきさん！こんにちは(^^)深澤くん、目黒くん落ちも需要あるって言ったのに、照くん落ちもすっごく見たいです……… (2020年5月28日 17時) (レス) id: 8c58893707 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こゆき
| 作成日時：2020年5月13日 15時
