161. ページ15
>Fukazawa side.
「ふっか、手、放して。」
『あぁ、ごめん、』
その言葉にパッと掌を開けば、ストンと落ちていったAの腕。
…やばい俺、
余裕なさすぎだろ。
目黒くんが俺を見る目、あれは明らかに俺のことを敵対視してる目で。
あぁ、こいつもAなこと好きなんだろうなって。直感で察した。
…敵が多すぎるんだよな、
照だけでも大敵なのに、
加えて後輩の高身長イケメン？…ふざけんじゃねぇ。
ん、待って、
……目黒、？
どこかで聞いたことのある名前。
あ、思い出した。
確か照の車の中で寝たふりしてた時だ、あの時に聞いた。
…あれ、照はその時なんて言ってたっけ。
なんて、頭の中を動かしていると、
ーーまもなく2番線に電車が参ります。ーー
聞こえたアナウンスの声に考えるのを一旦中止する。
早く2人きりになりたくて、強引に引っ張ってきてしまったはいいものの、
久しぶりに2人きりで乗る電車。
座席は全部埋まってて、Aがドアの横のコーナーに背中をもたれて、外の景色を眺める。
少し遠くの方から、会社帰りの若いサラリーマンの2人組がAのことを見てて、
そいつらから隠すように彼女の前に立った。
握った吊革がキシリと音を立てる。
『目黒くん、とは結構仲良いの？』
「え？」
おもむろに口を開いた俺を、Aの瞳が見つめる。
「…まあ、ほどほどに。」
『へぇ、』
「なに急に、」
『んー？気になったから聞いてみた。』
そう言って笑えば、Aはフッと息を漏らして顔にかかった前髪を指で払った。
「あの子、照のバイト先の後輩でもあるんだよね。」
『え、そうなの？』
「うん。…私今度そこにバイト先変えようかと思ってる。」
『…え、なんで？』
Aが今働いてるのは、さっきの駅前のちょっと意識高めの有名な珈琲屋。
大学入った頃から続けてるからもうかれこれ3年近くそこで働いてるはずだけど。
「今のところ、人間関係がめんどくさいから辞めたくてさ。照とか目黒とかいるならその点は楽かなーと思って。」
つまり知り合いがいるからってこと？
『じゃあ俺のとこでもいいじゃん、』
「…それはやだよ。」
Aはそう言ってちょっと下唇を突き出す。
『なんで？』
……照とか目黒くんはよくて、なんで俺とはダメなの？
「……ふっかと一緒じゃ集中できないじゃん、」
ボソリと呟いた彼女は、ふいっと視線を逸らした。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4953人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひすい - 面白すぎて一気に見てます、、！ふっかさんと両片思いに歓喜しながら、めめやひーくん切なすぎて今泣きながらコメント書いてます。笑色んな感情がぶわ〜って感じです！最高です！ (2020年12月12日 23時) (
レス) id: 85cba31a0e (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - 名無し85099号さん» コメントありがとうございます！！そんな風に言っていただけて本当に嬉しいです！！最後までよろしくお願いします…！！ (2020年6月3日 13時) (レス) id: e5c6dc30ce (このIDを非表示/違反報告)
名無し85099号(プロフ) - ほんとに焦らされまくりました！本気でどの作品よりも主様のお話が一番好きです！大ファンです！最終章楽しみにしてます！ (2020年6月2日 21時) (レス) id: ead5991952 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - 凛華さん» こんにちは、コメントありがとうございます…！照もかわいそうな感じになっちゃいましたもんね…、どのような形でふっか以外の落ちも書くか、今いろいろ迷い中です…、とりあえずは完結まで明言はできませんが、今後もよろしくお願いします…！ (2020年5月28日 18時) (レス) id: e5c6dc30ce (このIDを非表示/違反報告)
凛華(プロフ) - こゆきさん！こんにちは(^^)深澤くん、目黒くん落ちも需要あるって言ったのに、照くん落ちもすっごく見たいです……… (2020年5月28日 17時) (レス) id: 8c58893707 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こゆき
| 作成日時：2020年5月13日 15時
