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「Aさん、」
私の名前を呼んだ目黒がおもむろに自分の首に巻いてたマフラーを取り始める。
『ちょ、』
「首、寒くないですか？」
ふわりと鼻腔を目黒の香りがかすめて、首元に温もりを感じた。
くるりと私の首に、さっきまで自分がつけていたマフラーを巻きつける。
『…私は別に、大丈夫なんだけど、』
「黙って巻かれてください。」
目黒がすっと目を細めた。
…甘い。
目黒を取り囲む空気が、甘い。
さっきまで風に当たって冷たかった首筋が、嘘みたいに温かくて、
同時に心の中に罪悪感が渦巻く。
……なんでこの子は、私を好きなんだろう。
私が私じゃなかったら、彼の優しさやこの甘さを純粋に受け入れられるのに。
目黒のことは好きだ。人として。
…でもそれは、恋愛的な意味ではない。
「Aさん、俺一つだけお願いしたいことがあるんですけど、」
目黒が私の首に巻いたマフラーの端をつかみながら、口を開く。
目線を合わせれば、彼はゆるりと口元を緩めた。
「今日1日だけ、俺のこと"蓮"って呼んでくれません？」
『は？』
「最初に会った時にAさん言ってたじゃないですか、仲良くなったら蓮って呼んでくれるって。」
……言ったっけ？
よく覚えてないけど言ったのかな。
「もう十分仲良くなったと思いません？」
『…まあ、』
「だから呼んでくださいよ、蓮って。」
私の中で、目黒のことをいつまでも名前で呼ばないのは、多分、ある種の壁を作りたかったから。
明らかな好意を示してくれてる彼への、ここから先は入っちゃダメだっていう壁。
……ここでそれを変えるのは、多分良くない。
「やっぱダメかー、」
私が何も答えられずに黙っていると、目黒が固まった空気を壊すかのように笑った。
『…ごめん、』
「いいっすよ、そんな顔しないでください。」
……私、どんな顔してるんだろう、今。
目黒の瞳に映る私は、困惑の色を浮かべた複雑な表情を浮かべてる。
「…行きましょうか。」
悲しそうな笑顔を浮かべる彼に、私はやっぱり何も言えなかった。
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ひすい - 面白すぎて一気に見てます、、！ふっかさんと両片思いに歓喜しながら、めめやひーくん切なすぎて今泣きながらコメント書いてます。笑色んな感情がぶわ〜って感じです！最高です！ (2020年12月12日 23時) (
レス) id: 85cba31a0e (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - 名無し85099号さん» コメントありがとうございます！！そんな風に言っていただけて本当に嬉しいです！！最後までよろしくお願いします…！！ (2020年6月3日 13時) (レス) id: e5c6dc30ce (このIDを非表示/違反報告)
名無し85099号(プロフ) - ほんとに焦らされまくりました！本気でどの作品よりも主様のお話が一番好きです！大ファンです！最終章楽しみにしてます！ (2020年6月2日 21時) (レス) id: ead5991952 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - 凛華さん» こんにちは、コメントありがとうございます…！照もかわいそうな感じになっちゃいましたもんね…、どのような形でふっか以外の落ちも書くか、今いろいろ迷い中です…、とりあえずは完結まで明言はできませんが、今後もよろしくお願いします…！ (2020年5月28日 18時) (レス) id: e5c6dc30ce (このIDを非表示/違反報告)
凛華(プロフ) - こゆきさん！こんにちは(^^)深澤くん、目黒くん落ちも需要あるって言ったのに、照くん落ちもすっごく見たいです……… (2020年5月28日 17時) (レス) id: 8c58893707 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こゆき
| 作成日時：2020年5月13日 15時
