81. ページ33
.
ふっかにLINEで言われた通り、いつも2人で行く居酒屋近くの駅で待つ。
いつにもなく緊張するのは、多分今日は私からふっかを誘ったからだろう。
……変に思ってないかな、
そんなことを思いながら、目にかかるくらいまで伸びてきた前髪を人差し指でサッと払う。
「A、」
履き慣れた白のスニーカーの爪先あたりをぼーっと眺めてると、背後からした声に振り向く。
長くなった私の髪が風に靡いた。
「ごめん、待った？」
『うん。』
「ちょ、お前なぁ。ここは嘘でも待ってないって言うとこだろ、」
そう言いながら私の前にやって来て、ゆるりと口元を上げる。
「行こっか。」
そう言った彼に頷いて、いつもの居酒屋までふっかの横を歩いた。
「…で、なんかあったの？」
運ばれてきた飲み物で乾杯した後、片手に烏龍茶の入ったコップを持つふっかが私を見る。
『…なにって？』
「いや、珍しくお前から誘ってきたから何かあったのかと思って。」
…やっぱ変に思ってたか。
『別に何もないよ。』
「ほんとに？」
ふっかの瞳が私を覗く。
なんか言うことあるんじゃないの、的な顔をして。
『………会いたかったから、』
「え？なんて？」
ガヤガヤと騒がしい居酒屋の店内、そう呟けば、私の言葉が聞き取れなかったのか彼はグイッと顔を近づけた。
…危な、
無意識のうちに口に出してた言葉。
聞かれなくてよかった。
会いたいなんて私の柄じゃない。
『…なんでもない。』
近づいた顔を遠ざけるように、「てか、顔近い。」とふっかのおでこを押す。
「あぁ、ごめん。」
『…うん。』
離れていったふっかの顔。
煙臭い居酒屋の中で、彼の匂いがふわりと香った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3852人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こゆき(プロフ) - 凛華さん» コメントありがとうございます！需要ありますか！私も目黒落ち書きたいなーと思ってるので本編終わったら書いてみますね、ありがとうございます！ (2020年4月25日 22時) (
レス) id: 0585c4282d (このIDを非表示/違反報告)
凛華(プロフ) - 余力があれば！目黒落ちもお願いします★需要あります…！コメント失礼しました。いつも楽しく読ませて頂いてます(^^)これからも楽しませてください (2020年4月25日 1時) (レス) id: 8c58893707 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - うたさん» コメントありがとうございます！ふっか動きましたねー、これからをお楽しみにしていただけたら嬉しいです！ありがとうございます、私のペースで頑張ります！ (2020年4月22日 23時) (レス) id: 0585c4282d (このIDを非表示/違反報告)
うた(プロフ) - コメント失礼します。ふっかさんどうするんだろうって思ってたんですが、動き始めておおお！となっております！！これからもこゆき様のペースで更新がんばってください(^^) (2020年4月21日 18時) (レス) id: ac1778f4fd (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - milkmilkmilk723さん» ふっか、ここからどんどん動きますよー！笑 今後もよろしくお願いします！ (2020年4月21日 16時) (レス) id: 0585c4282d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こゆき
| 作成日時：2020年4月8日 14時
