欲しいのは

オーバードーズ ╴IN ページ5

・



「ただいま、A」

『おかえりイエナ』



帰ってきたイエニを玄関まで迎えに行き抱きつく
優しく抱き留めて私の首筋に顔を埋めるイエニがくすぐったくて、身をよじるとさらに腕に力を入れられた
ちゅ、ってそのまま首に軽く口付けられるから、彼の首に手を回して応える
手持ち無沙汰なので目の前にある彼の髪を触っていると、一回ぎゅっと力が強くなり離された




「着替えてくるね」





そう言って洗面所に向かったイエニを見送り、リビングに戻る
マグカップを一つ出して、彼の分のコーヒーを淹れる
私はさっきまで飲んでいたココアがまだ残ってるからイエニの分だけ







「Aー僕今日もお仕事頑張ったよー！」

『お疲れ様』



着替えが終わったのかコーヒーを準備している私に後ろから抱きついてきたイエニ
背中にぐりぐりと頭を擦り付けてきて可愛い





「今日は何してた？」

『今日はねぇ、先週イエナが借りてきてくれた映画見てたよ』

「面白かった？」

『うん。』

「無いとは思うけど家に人来ても開けてないよね？」

『誰も来なかったよ。来ても開けない』

「うん。ちゃんと守ってるね」






偉い偉い、と言いながら私の頭を撫で出したイエニ






「僕以外の人を見たらダメだよ。僕以外の人の声を聞くのも、考えるのも許さない」

『私の頭はいつもイエナでいっぱいだよ』





ふふ、と笑いながらそう言えば、イエニは心底嬉しそうな顔をして、どろどろした目で私を見てくる



彼が用意した、連絡先はイエニだけ、それ以外のSNSは削除されたスマホ
監視カメラがいくつも付けられた広い部屋
足に繋がれた軽い鎖




その全てが彼の愛だから
こんなのおかしい、なんてもちろん分かってる

でも、イエニは私が外にいるのを嫌うから
目の届かない所で私が死んだらと思うと耐えられないらしい


だから、私を外の世界から遮断して、自分だけを見せて、求めさせて、愛させる
それが嬉しい、と感じてしまう私も相当イカれてるのだろう


最初は戸惑ったけど、全然嫌じゃない
私もイエニのことを愛してるから
これで彼が安心できるなら構わない

きっと私は一生イエニとここで過ごすんだと思う

彼の視線も、心も、愛情も、ぜーんぶ私のもの

それってすごく幸せなことじゃない？





「A、お願いだからどこにも行かないで。ずっと僕だけを愛して。死ぬなら僕も一緒に殺して」

『可愛いねぇイエナ。私にはイエナだけだよ。』



死んでからも一緒にいようね

個人的なスキズヤンデレ属性分け 🐺🐰🐷🐰→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す