欲しいのは

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「はやく、口、開けてっ」

『んっ、もういやあぁ！！』





コンクリートで出来たような壁に押し付けられて、熱い体が冷えるのを感じる


無理矢理口を割られて入ってきた彼の舌
もう何回目かも分からないようなそれに諦めて舌を出す



鋭い何かに触った感覚がして、舌を引っ込めようとしたらその瞬間すごい力で舌を噛まれた
途端に血の味がしだしたから多分、犬歯で噛まれた
噛まれたところを犬歯でさらにえぐられて、あまりの痛みに手に力が入る




「これすると締まるね」





めっちゃいい、と苦しそうな表情で言われるけど、舌の痛みで何も考えられない
口の中は血の味でいっぱいだし、そろそろ疲れてきたし





「もーいっかい」





そう言いまた舌を入れ込んできた
またあの痛みがくると思うと怖くて必死に顔を横に振るけど、お構いなしに舌に歯を立ててくる





『ん"ん"ー！！』






さっきとは別の場所に刺されて、そこからも血が溢れてくる
彼の口の端から血がこぼれるのが視界に入って、やけに扇情的なそれにまた恥ずかしくなる





「血って思ってたより美味しいね！ハマっちゃいそう」






それから少ししてお腹の圧迫感が一層大きくなって、出されたのが分かった






『はあっ、はぁ、やっと終わった…』






自分の中から彼のが抜かれて、お腹の苦しさがなくなる
それと同時に中から溢れてくる白い液体に吐き気がしたけど、今はとりあえず解放されることを喜ぼう






「何言ってるの？君はこれから僕の家に行くんだよ？」

『え…？』

「このまま帰すわけないじゃん！僕捕まっちゃうよ」

『え、いや、そんな』






手の甲で額の汗を拭い、服を整え出した彼
はい、と渡されたのは私が着たら簡単に全身を隠せるくらい大きいコートで。





ショックで動けない私に気づくと、仕方ないなぁと甘い声と機嫌良さそうな顔で私の前にしゃがみこみ、コートを私に着せる


鼻歌を歌いながら1つ1つボタンを留めていき、手を引いて立たされる





「ほら、行くよー！」





それでも動けないでいる私を見るとめんどくさそうに眉間に皺を寄せたけど、すぐに戻って私の肩に手を置く






「可愛そうにねぇ。もう逃げられないなんて」





あの時見捨てとけばねぇ、と私の耳元で言う彼
聞こえていないと思ったのか、ため息をついて私を抱き上げるとそのまま歩き出した



今抵抗しないとだめだと分かっている
でももうそんなことをする元気も希望も無かった

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