欲しいのは

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『おまたせ。帰ろう』








呼び出されたのは、まあ予想通り告白だった


入学式で一目惚れした
同じクラスになれて、真面目な子なんだってことを知った
私のことが頭から離れない



そんな、悲しくなるくらい真っ直ぐな言葉を向けられて、泣きたくなった

こんな私を好いて、気持ちを伝えてくれるんだぁって
いい子なんだろうな、って思った







「告白だったでしょ？」

『…うん』

「…返事、何て言ったの」

『断ったよ』






あの人のこと何も知らないし、と付け足すと少し目を見開いたヒョンジンに手を引かれる
突然のことだったから、座ってるヒョンジンに覆い被さるように倒れ込んだ

壁に手を着いたから激突はしなかったけど、すぐそこにヒョンジンの顔があって緊張する
すぐに離れようとしたけど、ヒョンジンが私の首に手を回してもっと引き寄せた
お互いの息遣いも分かるくらいの距離で見つめ合って、この人はどこまで残酷なんだろうと思う







『ヒョンジナ、離して』

「嫌」

『なんで』

「…Aは、ソイツのことちゃんと知ってたら付き合ったの？」

『はぁ？』

「今の言い方だと、そういうことじゃん」

『付き合うわけないでしょ』








ならいい、と言って簡単に私を離したヒョンジン
なんでそんなこと聞いてくるんだろう

好きって言ったらまたあの頃に戻れるの？
違うでしょ








いい頃合いなのかもね
神様がそろそろはっきりさせろって言ってるのかも

この関係に区切りを着けろって

このまま続いても辛いままだろうし、もう終わらせちゃおうかな








『……ヒョンジナ、なんでそんなこと聞くの？私のこと好きでもないくせに』

「…は？」






そう言った瞬間さっきまでの比じゃないくらい目を見開いたヒョンジンが立ち上がって私の手首を掴む
一切加減されていないそれに痛みで顔が歪んだ








「好きじゃないって何。俺がただの友達として接してると思ってたの？」

『？ そうでしょう、実際。私たちは別れて、ヒョンジナの優しさでまだ私の面倒を見てくれてる』





違うの？と言うと強い力で腕を引かれた
そのままヒョンジンの胸に飛び込んで、痛いくらいに抱き締められる
いつもと違うそれに意味が分からなくなる


「…俺はまだAのこと好きだよ。恋人の形じゃなくても傍にいられるなら何だって良かった」

『うそだ』

「本当だよ。」

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