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『ん〜、久しぶりにゆっくり出来たな〜』
自分の枕に顔を埋めて、リラックスをしきっていたそんな時。スマホから着信音が鳴り響いた。画面には"サングラス林檎"と表示されている。
『…どうしたの？なんかあった？』
「…別になんもねえよ。ただ声が聞きたくなっただけだ」
なんだその付き合って数週間のカップルみたいな会話の返事は。
大した用事じゃないことを理解した私は、スマホを耳に当てるのを面倒臭く感じ、スピーカーモードにして枕の横に置いた。
「…切らねえのか」
『切っていいの？』
「…仕事頑張ってるんだな」
やりたくてやってるのだから"頑張ってる"なんて言葉は、今の私には少しくすぐったかった。
『ありがと。…萩はどうしてる？』
「全然。ケロッとしてる」
『アイツ…もう当分死にかからないからって調子乗りやがって』
「同感だな」
『全く…』
未だに私は松田と同居しているが、私が働き始めてから殆ど会話は出来ていなかった。だから私も声が聞きたかったのかもしれない。
…だってそうじゃなければ、私の胸はこんなにも高鳴らないだろう。
「班長はどうだ？」
『相変わらず、明るくて彼女が大好きな班長だよ。…
「態々公安配属ってことを伝えられたが、本当に良かったのか」
『そうだね、身内にも他言禁止な極秘ネタなのに…今度長野に行ってみようかな。』
「長野…って、諸伏の地元だったよな、確か警官で年の離れた兄貴がいるって言ってたか？」
『うん、1回だけ会ったことがあるんだけどね。一応私も警官だし挨拶しとこうかなって』
「…俺も、行く」
『え？松田も？なんで？』
「俺もあいつの同期で警官だからだよ、なんか文句あんのか」
『別に…』
「ふん」
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作者名：わわまま x他1人 | 作成日時：2024年3月16日 21時
