忠犬にはならない！！【松田陣平】 (ページ17)

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『なんて言うのか…変な表現になるけど松田が松田じゃないって言うか』

言ってる自分が恥ずかしくなってくる。私しか知らない、ずっと見続けていたと勘違いされそうな内容でも、何故かスラスラと口から出るのが止まらない。

『松田が私の名前呼ぶ時…なんか雰囲気がちが、』

止まらない私の口を止めたのは…

「んっ…1回黙れよ、」

松田の唇だった。

「好きなヤツに、"答えないと(告らねえと)終わらない尋問"させられる気持ち考えろよ。…あぁ割に合わねえから、もっかいさせろ…っん」

私が我に返ったのは、松田の唇が触れている真っ最中だった。

『…んー！んーんー！！』

密着していた松田の胸板を推し叩いて、何とか離れさせようとしたが、依然微動だにせず。

『っ…』

ようやく離したと思ったら、何故か両肩を強く押し付けられ、気が付けば壁と背中がピタリとくっ付いていた。そして松田は私の頭上で片腕を壁にもたれされ、逃がさないとでも言うようだった。所謂、壁ドンってやつ…？

「…すきなんだよ、初めて会った日から」

しばらく私も黙っていたが、松田がそう呟くのが聞こえた。

『へ…、！？』

とても間抜け、すごく間抜け。もう驚くほどの間抜けな声だった。そして私の顔はトマト並に赤いだろう。

「信じられねえくらい鈍感だな、お前は。…惚れた俺、かわいそーだわ」

『え、いや…そのっ…えっと』

『(やばい、何言えば良いのか全然分からん)』

と、少しパニックになっていると、先程とは違い、私の額に軽いキスをしてきた。

「落ち着けよ、別に混乱させたい訳じゃねえから」

『…リンゴがなんか言ってらぁ』

「…うっせえトマトが。」

不貞腐れ顔をしてそう返す松田は、私の知ってる松田だった。

…相変わらず身は解放はしてくれないけど