忠犬にはならない！！【松田陣平】 (ページ2)

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拾われたページ2

『(大変だ‪大変だ、何が大変なのか分からんくらい大変だ)』

知り尽くした、家同然の館内を犬の如く(いや、犬なんだが)走り回って兎に角落ち着こうとした。結構無理矢理な性格なもんで

『(まずい、あと1時間で点呼が…あれ)』

こんな朝早くに、誰かが寮を抜け出しグラウンドで歩いているのを見つけた。しかも1人じゃない。誰だそんなバカは…？

「まさか降谷ちゃんもこんな不真面目なことするんだね」

「まさか。君たちの監視と言ったところだ」

「ほんとか？お前いつもは真面目なこと抜かしてる癖に、やることはちょー不良だからな」

「確かに、否定はできない」

「景(ヒロ)まで！」

「だから、こうして俺がいるのだろう」

…あいつら、何やってんだ全く。留年してもいいのかバカ共。爽やかに朝のお散歩を楽しんでいるおバカな5人組を遠目に、呆れてしまう。あれ、今なんであんな遠くの会話、一言一句全て聞き取れたんだ？…あ、犬だからか

ってそうだよ。そんなこと思ってる場合じゃない。私犬なんだよ。アイツらがいつも通りの超通常運転すぎて、自分のこと忘れてたわ。

でも、結局どうすることも出来ないのが現状というもので。

『うぅ…』

人間として思ったことが、犬としても同じ言葉で出てしまった為、人間てやっぱり動物なんだと改めて思い知らされた。

「あれ、あそこにいるのって、犬じゃないか？」