1/20,コロラド州 アスペン コテージ no.5 ページ11
「なんか滲み出てるじゃん!? 生き生きとしてるって言うか、オーラというか雰囲気と言うか…。とにかく顔だけじゃないんだ! 顔もかわいいけど! あのオーラが出てる顔が好きなんだ!」
「……はぁ」
呆れたように取り繕う俺だけど、来夢の言ってることはわかる。
Aからは、何か特別な気配を感じる。海外を飛び回っていて、この年でフリーで仕事をしているからかもしれない。
真っ直ぐさ、芯の強さ、ブレなさ。それらが深く刻まれている大きな瞳。あの目を向けられると、どうしても惹き込まれてしまう。
まだ出会って半日足らずなのに、俺にそう思わさせてしまう。来夢も同じように感じたのだろう。
「……まあ、それは置いといて」
「置いとくな! 俺は真剣…」
「俺はスタッフとしてAを雇ったんだよね。そういうごたごたはこの時期にはやめてくれよ」
「う…」
遮るように言う俺にの言葉に、口ごもる来夢。まだシーズン中だし、ましてや今年はオリンピックイヤーだ。俺たちにとって4年は長い。
たった1分足らずで終わるRUNに、俺たちは4年をかけている。来夢だってそれは同じだ。
「…ごめん、ちょっと浮かれてたわ」
「いいって」
俺は小さく笑う。来夢のこういう素直なところが俺は好きだ。
「まあ今はちょっとねー。あ、でもさ」
無邪気にいたずらっぽく笑う友基。嫌な予感がした。
「Xゲーム終われば雇用関係も終わりだよね」
「……」
思わず黙ってしまう俺。来夢ははっとしたような顔をした後、ぱあっと顔を綻ばせた。
「Xゲーム終わるのなんてもうすぐじゃん! そしたらもう歩夢は関係ないよね! アタックしていいよね!?」
「えー、でも振られたらダメージ引きずらない? オリンピックあるでしょ」
「それは大丈夫! モヤモヤ何もしない方が引きずるわ!」
友基のわざととも思える問いかけに、来夢はいきいきと答える。まあ、素直な来夢のことだから、意中の相手がいて何もしないでいる方が競技に影響が出そうだ。
「歩夢はそれでいいの?」
不敵に聞いてくる友基。何かを見透かしているような、楽しんでいるようなそんな表情。
「…別に。いいんじゃない?」
俺はできるだけ表情を変えずに、投げやりそうに答えた。
…そうだ。別にいい。来夢とAがどうなろうと。今の俺には恋愛にうつつを抜かす暇なんてない。
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chopomuupimuu(プロフ) - こんばんは、以前、読ませていただいていたものです。読みたいと思って、検索したら、パスワードを入力してくださいと出ました…よかったらパスワード教えてください🙇 (1月18日 23時) (レス) id: 6e5665fccd (このIDを非表示/違反報告)
泰人(プロフ) - ぽんぽこさん» ずっと探してくださっていたのですね!消えてしまっていたようですみません……。また探して呼んでくださるなんて嬉しいです!続きを更新中なので、読んでくださったら幸いです。コメントありがとうございました! (2022年3月7日 15時) (レス) id: b87ce5cd96 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんぽこ(プロフ) - 何年か前に読ませていただいたのですが題名なども覚えておらず、うろ覚えな記憶を辿ってずっと探していたお話にまた巡り会えて嬉しいです!復活してくださりありがとうございます! (2022年3月6日 13時) (レス) id: e9223fbd65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:泰人 | 作者ホームページ:http://walktodream.blog.fc2.com
作成日時:2022年2月17日 18時