episode.2-4 ページ5
「いやいやいや、補佐に就任式も何も要らないのではないでしょうか…時間も何もかもがもったいなくないですか？」
聞いていた感じ“
眉を下げて就任式の辞退を申し出ようとすれば肩にポン、と手が置かれる。もちろん隣に座る鬱さんのものだ。
「諦めよ？先の幹部会議でもうこれは決定事項やねん…」
“決定事項”。
宙に踊ったその四文字に項垂れる。先般の試験の時と言い幹部補佐云々のあれといい私の知らないところで話が進みすぎでは無いだろうか。あまりに横暴がすぎる。いや、此処の一員として働くことを了承したのは私であるけれども、私の浅慮がすぎるのか事が勝手に進み過ぎだ。
「それに丁度今は“紫雲の節”……めでたいことを祝う、報告するには丁度良い月だからね」
ひとらんさんも比較的肯定派で援軍が見込めないことを悟った私は肩を落とす。そんな私を心配する様子も見せずオスマンさんが口を開いた。
「せやからまずAちゃんだけでも準備せなあかんのがドレスに軍服、武器の類やろ？ああ、インカムも作らんとな……正式な加入書類も作成して血判を押してもらわなあかんし、一般兵への伝達もしっかりせなあかん、やることは山積みやね」
「……マンちゃん、程々にしてあげてね？」
「ひとらんも手伝うんだよ？」
「おう……」
ドレス？軍服？生家に居た頃のドレス地獄を思い出して私は顔を青ざめさせた。あの時は1週間かかったぞ。ドレス選びだけに1週間も！何百着着せられて選んで購入したのは結局4着！それ以外は全部採寸された後にオーダーメイドだ。しかもドレスだけじゃない、靴やら装飾品やら、外行きと家用とパーティ用ともまた用途が違うし赴く場所や家によっても変えなきゃいけないからさらに時間がかかったのを覚えている。あの地獄をまた！？ﾋｮｧ、と震えていればそれを見兼ねた鬱さんがまた声をかけてくる。
「まぁ、貴族や王族みたいに半日以上拘束はせえへんと思うで、マンちゃん達も他にやる事あるやろし」
「それなら良いんですけれども…」
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作者名：須戸 | 作成日時：2022年2月13日 20時
