episode.2-13 ページ14
__________ところ変わって作戦テント内。
白尾国と我々の国の軍旗が控えめに掲げられたテントがひとつ。四方からの奇襲を防ぐために数多あるテントの中央に隠れるように設置されていた。
入口にシャオロンさんの部下と恐らく白尾国の方だろう兵が立っていて2人共シャオロンさんの姿を確認すると敬礼する。
……やはり他国でもシャオロンさんの顔は知られているのか。白尾国の兵が私を少し不思議そうな顔で見るので事前に渡された補佐を示す腕章が見えるようにすれば慌てたように敬礼される。それに思わず笑みを零しながら答礼した。
「邪魔するで〜」
そんな私達を置いてシャオロンさんがテント内の返事を待つ間もなくズカズカと中へと入っていく。慌ててシャオロンさんに続いて中へと入ればシャオロンさんと私に視線が集まる。
「待ってましたシャオロンさん！」
「お久しぶりです」
立ち上がってこちらを見るのは白尾国の幹部、パンダのパーカーを羽織り水色のしっぽのアクセサリーを身に着けたNakamu様、そしてスーツを身にまとい紫のベストとしっぽのアクセサリーを着けたスマイル様だ。
「今回はなかむとスマイルなんやな」
シャオロンさんがそう言えばパッと表情を明るくしたNakamu様が笑う。
「はい、そうなんです！今回はシャオロンさんなんですね！…え〜っとそちらは」
視線を自然に渡されて慌てて礼をする。緊張でガチゴチに固まった私の背中を解すようにシャオロンさんが笑って背中を優しく叩いた。
「コイツはA！新しい幹部として今俺らで育てとんねん」
「ご紹介に預かりました、Aと申します。ほ、本日は宜しくお願い致します」
少し噛んでしまったが許容範囲内だろう。下げた頭を上げればポカンとした様子のおふたり。シャオロンさんは少し笑っている。
「そんな緊張せえへんくても白尾は優しいから平気やで」
優しく叩いてたはずが段々背中の威力が高くなっている気がする。シャオロンさんの励まし(物理)を避けていればスマイル様が此方を見て口を開く。
「スマイルです……宜しく」
「は、はい！スマイル様宜しくお願い致します」
握手を求められたので応じればふ、と口角をあげられた後に手を離される。
「というか様付はしなくていいよ、変だわ」
そう返されて仕方なく頷く。あ、おれも！！とNakamu様にも言われてさん付けをさせて頂くことにした。目上、しかも国を預かる人に対して様付けは普通じゃないのかな、なんて思わず首を捻った。
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作者名：須戸 | 作成日時：2022年2月13日 20時
