episode.2-12 ページ13
特に特筆すべきことも無く、私達は国の境界へと辿り着く。簡易的な小屋がいくつか建てられており、我々の国の国旗とは別に白い尾を模した国旗、___白尾国の旗も見受けられた。つまりはもう先方は着いている、ということだ。
ジョンさんが馬を休めてくれるとの事だったのでその言葉に甘え私はシャオロンさんの元へと向かう。国と国を越えることはあれどこんな形で駐在することはもちろんない事なのでソワソワしてしまう。
気を散らしながらシャオロンさんの居るであろう方向へと歩いていれば不意にぶつかってしまう。
｢_____ッわ、｣
肩が相手の身体にぶつかり少しよろけてしまう。何とか咄嗟に体制を整えて顔をあげれば少し暗みがかかった青い瞳と目が合う。
｢ッ、すみません、自分の不注意でした｣
｢いや〜、こっちこそすみません｣
深々と頭を下げれば面をあげるように言われるので恐る恐る顔をあげればまた青い瞳がこちらを見ていた。シャオロンさんの部隊では見たことがないので恐らく白尾国の兵士……いや大分軽装というか、なんというか。
シャオロンさんもオーバーオールにボーダーシャツ、ニット帽なんていう軽装だし珍しくないのか？内心首を傾げながら再び軽く頭を下げればひらひらと手を振られてそのまま男性が立ち去っていく。
……てか、あの人、
｢ぶつかったのに全然よろめきもしなかったな……｣
それと大分態度が慣れた人のそれというか。人の上に立つことに慣れている人の態度だった。やはり白尾国の幹部だったり？いやしかし事前に見せてもらった書類にあんな人居なかったような……。
｢考え事？｣
｢ッは、｣
考え込んだ視界の端からひょっこりと黄色が飛び出してきて肩が跳ねる。シャオロンさんだ。いつの間にか到着していたらしい。
｢いえ、先程ぶつかった方が珍しい装いをされていたので｣
驚いてしまった気恥しさに髪の毛を弄りながらそう答えればシャオロンさんがほ〜ん、と声を漏らしながら眉を顰める。
｢……？｣
｢どんなやつやった？｣
｢え、嗚呼、｣
空、と言うよりか深海に近い青さのニット帽や衣服を身に纏って赤いマフラーをされていました、と答えればシャオロンさんの口角がゆるゆると上がっていく。
何がそんなにおかしいのか、私がぶつかった人物に心当たりがありそうだが。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 82人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：須戸 | 作成日時：2022年2月13日 20時
