episode.2-10 ページ11
___…時は過ぎて1週間後。
「後々トラブル起こして国際問題にならんことだけ気をつけてもらえばいいんで」
「どうしてそういう圧を出立前にかけるんですかねえ」
相変わらずあまり表情が変わらないままにとんでもないことを言うショッピさんとこういう時は嘘だとしても優しく送り出してあげるべきですよ、と宣うエーミールさんにひくり、と口元がつる。だが実際に他国との場に立つのは初めてであるため何も言い返せはしない。大丈夫ですよ、等と不確定すぎる言葉を吐くわけにはいかないのだ。
「だ〜いじょうぶやって！なんてったってこの俺、シャオロンが着いてるからな！」
「ｼｬｵﾁｬﾝ…」
「やめろやめろ」
シャオロンさんが背中をバシバシと叩いて元気づけてくれるが如何せん自信が無いもので胃が痛い。いや、大丈夫大丈夫……大丈夫と思わなければ出来ることも出来なくなる。
「頑張ります…！」
「ええぞ、その意気やで」
そう言って声をかけてくださったのはロボロさんだ。準備期間、シャオロンさんと接点が多くなった際に何だかんだ次点で接点が多くなったのはロボロさんだった。
「あ、そうや、これ」
『……？』
声をかけたと同時に手を差し出されたので私も手を出せばポトリ、と掌に落とされたのは小さな機械。
「インカム、や。あんさん専用の、な」
「あ〜製作班に今日に間に合うようにってロボロが無茶ぶりしとったやつな？」
それ言うなや、と大声でロボロさんが言うので思わず片手で耳を抑える。
どうやらわざわざロボロさんが手配してくれたらしいそれは電源をつければ薄くライトが点灯するようでなるほどなかなかに小型で軽いし格好良い。ありがとうございます、と感謝を述べて耳に着けた。
わちゃわちゃと出立の準備と見送りをしていれば、私を運んでくれる馬がぐりぐりと背中を押す。早く行け、と急かしているのだろうか。そばに居た兵士の手を借りて馬へと登り、跨ぐ。前世は移動手段は車や自転車だったし、今世でも外に出て移動するのは馬車であったから乗馬は慣れないことばかりだったけれど馬も賢いからなんとなくフォローをしてくれる。
……いや、馬にフォローされてしまう私っていかがなものなんだろうか。
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作者名：須戸 | 作成日時：2022年2月13日 20時
