【d!】縁を結んでⅡ【夢】 (ページ2)

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「…… ‘’色彩(いろどり)の儀”、ですか？」

初めて聞く単語に私は首を傾げた。

「そうか、Aさんはα国出身やからこの国の行事はそんな知らんのか」

ショッピさんが忘れていた、と言わんばかりに目を少し見開く。α国では‘’色彩(いろどり)の儀”なるものはなかった。そもそも行事など国王陛下とその周辺の方々の誕生日の節に国をあげてのお祝いのお祭りがあったくらいではなかろうか。

「この国やと秋の始まり、収穫の季節に祭りをするんすよ…あー、収穫祭、みたいな」

「冬になったら草木も枯れてしまって色を喪う、その前の祭りだから‘’色彩(いろどり)の儀”って呼ばれとるらしいですよ」

歯切れ悪く説明しようとするショッピさんの背後からにょき、と音が出そうな勢いで現れて説明をしてくれたのはチーノさんだ。ここ数週間、ショッピさんの幹部補佐として動けば彼に会う機会も多かった。

「チーノ、お前この時期毎年忙しくなっとらんかったっけ」

「めちゃくちゃ忙しい、でもオスマンがAさん呼んでこい言うとんねん」

そう言って私を見るチーノさんの表情は厚い瓶底メガネをかけているせいで口元以外伺いしれない。

「……オスマンさんが？」

若干怖気付きながらもそう聞けば肯定が帰ってくる。なれば急ぎで行くべきだろうか。現在直属の上官であるショッピさんを見遣ればこくり、と頷かれる。

「ほな行こか〜」

ショッピさんの頷きを見たチーノさんがスタスタと歩き始める。私はショッピさんに軽く一礼してからその後を慌ててついて行ったのであった。