#早朝 ページ19
『あっつ…』
蒸し暑い朝。
時計を見ると4時半。
早く起きすぎてしまったようだ。
『外明るいな…』
ユーリが起きないようにそっと窓を開いてバルコニーに出る。
柵に手をかけて海を眺めると、既に出てきていた朝日に照らされキラキラと輝いて見えた。
『うわ綺麗…』
？「…な」
『！？』
急に隣から聞こえた声に驚き、バッと横を向くとそこにはレトが立っていた。
『えごめん、いた？来た？』
レ「来た。ちょっとAに話したいことあって」
そう言うレトの髪は塩風に吹かれ、いつも以上にふわふわしている。
『誰にも聞かれちゃいけない感じのやつ？』
レ「うん。カメラ、今も回ってると思うから耳打ちでもええ？」
『いいよ』
レトは片手で口元を隠し、私の耳に近づいた。
レ「俺、キヨくんのこと好きなのユーリちゃんにも言ったから」
『えっ！？』
思ったよりも大きな声が出てしまう。
ユーリに言った…！？
確かユーリはレトのことが好きなんじゃなかったっけ…？
レトは私から離れると困ったように笑った。
レ「理由…とかは言えないんやけどさ、一応把握しといてほしいなって思って」
『あ…そう、なんだ』
レ「Aに1人で背負わせるのが申し訳なくなって。もう1人共有できる人がおれば安心できるやろ？…っていう建前なんやけど」
レトは私のことを考えてユーリに打ち明けてくれたのか…。
『…ありがと』
レ「うん。…あ、Aに会いに来た理由もう1個あってさ」
そう言うとレトはスマホを取り出す。
レ「写真、撮ろ」
そういえばここに来てから、レトとは1枚も写真を撮っていなかった。
私は二言返事でレトとの距離を詰めた。
レ「…ん。おっけー、ありがと」
『うん。あとで送って』
レ「わかった。じゃ、俺もうちょっと寝るから」
『二度寝行ってらっしゃーい』
レトを送り出すとすぐにスマホを取り出し、海をカメラに収める。
シャッターを押そうとした瞬間、急に後ろから腕が伸びてきて指が画面に触れ、内カメに変わった。
カシャッ
『ちょ、え、』
？「っはは、ごめんごめん」
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作者名：RIN | 作成日時：2022年8月6日 11時
