昔の話 ページ22
悟side
任務から帰る途中、Aからの突然の電話に反射的に出た
『もしもし、悟。話があるんだけど。』
何かを決意したかのようなAの声に心臓が大きく鳴る
「うん、僕も話そうと思ってたところだよ。」
Aはそう、と言って話をし始めた
『単刀直入に言う。今までごめん、私にも原因があったのに昨日は押し付けるような言い方した。』
予想外の言葉に黙り込む
『…私はね、ずっと寂しかった。好きって気持ちが分からなくなるほど自信が無くなって…だから余計、向き合うことから逃げてた。悟のせいって言うのは違うって分かってる。ただ付き合ってるのに友だちの時の関係よりも悪化してたのを、私は信じたくなかった。どうしてだろうって思ったら…きりが、なくなって…』
そう言いかけてAは泣き始めた
そんな想いを長年抱えさせていたと自覚した途端、僕は今までの自分を殺してしまいたいほど憎んだ
いや、本当は前から気付いていた
Aが寂しがってたのも、傷付いてたのも
全部見て見ぬふりをしていた
傑を失った時のようにAのことも失ってしまうかもしれない
愛が深くなればなるほど、離れることが怖くなって
これ以上傷付くのは嫌だと、彼女と向き合うことを恐れていた
でもそんなの、Aも一緒だったんだ
「…謝るのは俺の方だ。こんなくだらないプライドの為に、何年もAのこと苦しめて…」
そう一言、二言と零す度に涙が溢れて止まらなくなる
「傷付けてごめん…今まで、気付かないふりして逃げて…ごめん…っ」
俺がそう言うと、Aは優しい声色でもういいよ、と言った
そしてあのさ、と呟き
『…悟、別れよう。』
そう言うAの言葉に思わず息が詰まる
「…は？」
『今更になって気付くとか、恥ずかしい話だけどさ、私じゃ悟のこと、支えられないよ…それに、何年間もの溝を今更どうにか出来る気もしない。』
「待てって、俺の話聞けよ。」
『悟、もう無理なんだよ。そんなこと悟が一番分かってるはずでしょ…』
「…っ、分かんねえよ。」
『最後に悟の本当の気持ち聞けて良かった。今まで付き合ってくれてありがとう。大好きだったよ…これからは、ただの同僚として、よろしくね…』
泣きながらそう言うAの言葉を聞いて黙り込んでいると、ついに電話は途絶える
「俺は、まだ好きだ…」
言えなかった
もう自分にはそう言える資格は無いと、心のどこかで感じてしまっていたから
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ぽゆお - 面白い！ (2021年8月21日 20時) (
レス) id: 1ae4b37a35 (このIDを非表示/違反報告)
菜ノ花桜(プロフ) - 苺ミルク飴さん» 嬉しい感想ありがとうございます！これからも地道に更新続けるので、よろしくお願い致します。 (2021年1月18日 18時) (レス) id: 99ef0c82f2 (このIDを非表示/違反報告)
苺ミルク飴(プロフ) - すごく面白いです！とても好みの作品でした。お体に気をつけ、更新頑張ってください！続きを楽しみにして待っています！ (2021年1月18日 18時) (レス) id: 7e42020719 (このIDを非表示/違反報告)
菜ノ花桜(プロフ) - ぽんさん» ご指摘ありがとうございます。見落としていました、申し訳ありません。 (2021年1月17日 15時) (レス) id: 99ef0c82f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜ノ花桜 | 作成日時：2021年1月17日 15時
