苦悩 ページ18
悟side
冷静じゃなかった
「ああ、僕はとっくに冷めてるよ。」
僕がそう言えばAはしばらくして
「…そっか、今まで勘違いしててごめん。今日はもう帰るね。」
そう言ってその場を去った
その姿が見えなくなるまで僕は追いかけることもせず、その場に立ちすくんでいた
「何やってんだよ、ほんと。」
こんなこと言うためにAを探していたわけじゃない
Aに何度連絡しても返事がないから心配になって家にも行った
でもそこにはAの気配はなくて
もしかしたらと思って恵の家に行くと丁度二人の姿が見えた
けど
想像以上の嫉妬心に僕の心は埋めつくされた
恵とAがお互い大事に想っているのも、それが幼馴染という関係だから尚更なのも
「分かってたんだけどなあ…」
男らしくない
恵の方がよっぽど大人だ
心做しか恵といる時のAは昔のように元気で、いつも幸せそうに笑ってる
そんな恵が僕はずっと
「羨ましかったんだ。」
…年下に、しかも恵に妬くとか情けないな
そう思いながら、足取りを重くしてその場から立ち去ろうとした時
「やっぱり、こうなると思ってましたよ。」
気がつけば恵がこちらに歩いてきていた
「やっぱりって？僕は何もしてないよ。」
「ええ、そうでしょうね。」
思わぬ返事に呆気に取られる
「五条さんのことだから、優しい言葉の一つもかけなかったんでしょうね。余計なひと言は言えたのに。」
まあ憶測でしかないですけど、そう言って恵は立ち止まる
「…何が言いたいの。」
悟ったように僕がそう言う
「もうこれ以上、Aさんを傷付けるのはやめてください。五条さんがはっきりしない分、Aさんは要らない不安や傷を抱える。昔も今も、そしてこれからも。」
本当は言い返すつもりなんてなかった
でもそれすらも
僕のプライドが邪魔をするんだ
「…本当にAのこと大好きなんだねー。でも、恵にそんなこと言われる筋合いはないよ。」
そう言って舌を出す
「それは、宣戦布告と受け取ってもいいんですね。」
「宣戦布告も何も、最初から恵に勝ち目なんて無いけどね。」
僕がそう言えば恵は小さく笑い、真剣な眼差しでこちらを見る
「上等です。いくら五条さんでも、今回だけは譲りません。」
「お好きにどうぞ。」
そうして僕達はお互いの帰路を歩いて行く
余裕なんてないはずなのに
強がることしかできないなんて
ほんと、呪われてるみたいだ
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ぽゆお - 面白い！ (2021年8月21日 20時) (
レス) id: 1ae4b37a35 (このIDを非表示/違反報告)
菜ノ花桜(プロフ) - 苺ミルク飴さん» 嬉しい感想ありがとうございます！これからも地道に更新続けるので、よろしくお願い致します。 (2021年1月18日 18時) (レス) id: 99ef0c82f2 (このIDを非表示/違反報告)
苺ミルク飴(プロフ) - すごく面白いです！とても好みの作品でした。お体に気をつけ、更新頑張ってください！続きを楽しみにして待っています！ (2021年1月18日 18時) (レス) id: 7e42020719 (このIDを非表示/違反報告)
菜ノ花桜(プロフ) - ぽんさん» ご指摘ありがとうございます。見落としていました、申し訳ありません。 (2021年1月17日 15時) (レス) id: 99ef0c82f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜ノ花桜 | 作成日時：2021年1月17日 15時
