第二十一話 ページ21
『勇太、』
「俺、Aさんと話すの楽しかった。」
『っ、』
柔らかく笑って。
勇太は私を見る。
「Aさん俺にいつも優しくて。」
違うの。
優しかったのは勇太なの。
「俺が頑張れば褒めてくれて。」
だって、勇太は頑張りすぎるから。
傷つくことを、自らやるから。
「俺に気ぃ使ってくれたりもして。」
それは勇太じゃない。
いつだって笑って私と話してくれて。
「俺、Aさん大好きなんスよね。」
私だって。
私だって、勇太が好きよ。
感謝しきれない程に感謝してる。
目の前のこいつに犯 されそうでも。
みんなが来ても。
頬を伝うことのなかったものが私の頬を伝う。
空手や柔道。
その他にもいろいろな武術を経験して来たと言う勇太。
そんな勇太の性格は、とても温厚で。
陽だまりの様に暖かい。
『っ、勇太。』
ぽつり。
目の前の男ではなく。
対極する様な位置にいる勇太を見て言う。
これを言ったら、勇太がが怒られちゃうから。
だから、これだけ。
『ずっと、ずっと。』
長い間。
とてもとても長く感じたあの期間。
『一緒にいてくれてありがとう。
支えてくれてありがとう。
私に素敵な言葉をくれてありがとう。』
大好きよ。
その一言を飲み込んで。
私は彼に微笑む。
決して、悪魔には見せない。
、、、心の底からの笑顔で。
勇太は目を見開いて、私を見た後。
静かに目を伏せ、何かを決意した様に私を見て。
微笑んだ。
「あんた達。」
生徒会のメンバーに声をかける。
五人は静かに目を向ける。
「Aさんの事、頼む。」
「っ、てめぇ、勇太ぁ！！！」
怒号がとんでも見向きもしない。
強く、凛として。
勇太は彼ら5人に混ざった。
そして。
「Aさん、俺も手伝わせてください。」
そう言って、六人が。
だっ、、、！
走り出した。
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作者名：ヒヨコ | 作成日時：2014年4月14日 22時
