ワケあり少女3 (ページ20)

今日:11 hit、昨日:4 hit、合計:25,723 hit

第二十話ページ20

身体が言うことを聞かない。
殴られたからなのか。
はたまた手錠のせいなのか。
それとも。

「お前ら誰だよ、てか下の奴らはっ、」
「A離せよ馬鹿野郎。」
「下にいる人ならみーんな伸びてるよー？」

安心してしまったからなのか。

「Aちゃん、少し待ってて。」
「すぐ助けてやるからな～。」

来て、くれたのか。
少ない情報下で。
私を、見つけてくれたのか。

『っ、分かってるわよっ、、、。』

いくらだって待つ。
貴方たちが、私のためにしてくれてるんだもの。
いくらでも。

「いい子だ。」

そう言ったのは王様。
黒くて絶対的な王様。
普段からは考えられない程に優しく。
綺麗に微笑んで、私から視線を外した。

「っ、ふっざけんなよっ！！」

今にも殴り合いが始まりそうな時。

バンッ！！！！
また、ドアが開く。
そこには。

『ゆ、うた、、、』
「Aさん、、、」

小野勇太。
私が辛い時、そばにいてくれた。
私の生きる光だった。
地獄に差し込む、暖かな光。

「ちょーどいい。勇太、こいつら片付けんの手伝え。」

ニヤッと笑ってそう言い放つこの男。
どれだけ残酷なんだろう。
勇太が人を殴るのを嫌がってるの知らないの？
勇太がどれだけ苦しんでるか知らないの？

そんな私の思考は。

「Aさん。」

勇太が私の名前を呼んだことで閉ざされた。