ワケあり少女3 (ページ1)

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第一話ページ1

薄暗い部屋。

そこにいるのは私を含めて3人だけ。

そこにあるのはリコさんの戸惑った声と華月さんの驚いた顔。

・・・何時もなら。
私は微笑み、大丈夫と言うだろう。

でも、出来なかった。
だって、今の私に。

余裕なんて、ない。

『[ぎゅっ、]』

情けなくも、理性を保っているのは1枚のブレザー。
私はそれに縋るように抱き締める。

なんでかなんてどうでもよかった。
私にとって大切なのはこのブレザーの存在。
誰のだろうが、私が安心することに変わりはない。

「A、、、今日学校で、」

控えめに言葉を口にするリコさん。
あぁ、そうよね。
またいつ理性を失うかわからないものね。

・・・また。
また、迷惑をかけてしまった。

なんで、なんで、なんで。
どうしてっ、、、、

『[ギリッ、、、]』

どうして私はこんなにも弱いのだろうか。
なんで、独りじゃ居られないのだろうか？

なんで、迷惑をかけることしか出来ないのだろうか。

唇を噛み締めたいのを我慢して。
ギリギリと、手を握りしめる。

顔は、駄目だから。
せめてもと、手を傷つけ、自分に戒める。

戒めにもならないが。

「A。」

静かに。
でも、凛として。

彼女。
華月瞳は、私を呼ぶ。

『、、、。』

私は、何も言わずに彼女を見つめる。
もちろん、ブレザーを抱き締めながら。

「みんなが、待ってるの。」
「っ、貴方っ！」

リコさんは血相を変えて華月さんを睨む。
リコさんは、あの事を知ってるからな。

、、、優しいわね、私の周りは。
暖かすぎる程に。

「ごめんなさい。私は貴方に何があったのかなんてわからない。」
『えぇ、知って欲しいとも思わないわ。』

微かに、それを言葉にする。
でも、彼女は気にもせずに言った。

「会ってあげて欲しいの。」
「っ、ふざけないで！！」

リコさんは言う。
今の私は男に会うべきではないと。

でも、華月さんは今だ凛として言う。

「貴方を理解しようと必死で心配してたのは、私たちだけじゃないわ。」

なんで、だったのかしらね。
ブレザーの持ち主がいるだろうと思ったからかしら。

私は、ほぼ無意識に。

『、いるの？』

そう呟き、立ち上がっていた。
視界に入った驚いた顔をしたリコさん。
それを知らぬふりをして。

寝室の扉を開けた。