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そんな時だった。
闇宝石の取引についての会談が終わり、部下に少し気分転換をすると告げてふらふらと夜の東京を練り歩いていた時。
何年間も恋焦がれた横顔を見つけた。
若狭くん。
私の人生の最愛の人。
『ワカ、くん』
名前を呼ぶだけで虚の心が満たされていく。
好きだな、と思った。
愛していることを思い出した。
きっともう、私は壊れかけていたのだ。
あの頃と全く変わらない彼の姿を見て、愛したいとそう思ってしまった。
愛されなくてもいい。恐がられても構わない。ただ貴方が私の手の届くところにいるというだけで、きっと壊れかけでも生きていける。
そう確信した私はありとあらゆる手を使い、一週間で私が知らない現在までの彼の過去や今の生活リズム、人間関係などを全て調べあげた。
若狭くんは新宿に行き着けのバーがあり、週に一度。水曜日に通っているらしい。
それを知ったら実行だった。
若狭くんの為に最上級の家具を集め、最高の部屋を用意して。
念の為にセキュリティも最高峰のものがあるマンション。つまり自室に色んなものをあしらえて。
あとはそのバーに梵天の人間を派遣し、水に即効性の睡眠薬をまぜて眠らせてしまえばいい。
そして実行日、当日。
震える手でバーの扉を開けて、不安を隠した表情で偶然を装い、彼の隣に腰掛けた。
『こんばんは』
「……A、?」
覚えていてくれたのだという歓喜。
これからすることへの罪悪感。
忘れてしまって良かったのにという自己嫌悪。
愛しいという愛情。
その声に、瞳に、肌に、髪に。
無数の感情が吹き出し、その感情の嵐を心の奥底へと沈めて封じ込める。
震える手を恐る恐る伸ばし、彼の頬に触れた。
あぁ、温かい。
それだけで泣きそうになる。
私は沢山の人を殺した殺人鬼。目も当てられないほどに汚れてしまった。
若狭くんに触れるのは抵抗があったけど、でも。
抱き締められた時に愛が溢れた。
それから水を飲ませて、それで。
カウンターの奥にいる部下に目配せし、店の裏側から真っ黒な高級車に乗せる。
膝の上で可愛らしい寝息をたてるワカくん。
『愛してる』
これは純愛。
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セニオリス - きなこだいふくさん» 頑張ります!!ハッピーエンドにはならないと思いますが、最後までお付き合いしていただけると嬉しいです。 (2021年11月20日 15時) (
レス) id: cd823a214f (このIDを非表示/違反報告)
きなこだいふく - ヤバい、めっちゃ好きなタイプの作品だ......てっきりワカがヤンデレなんか？って思ってたけど夢主だった。重い純愛（？）大好きです！これからも更新頑張ってください！ (2021年11月20日 11時) (レス) @page9 id: df29fd2470 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セニオリス | 作成日時：2021年11月15日 22時
