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シャワーを浴びて万次郎くんの部屋から出る。
梵天の本部であるビルの長い廊下を歩いていた時だった。後ろから声をかけられた。
「オイ」
『……ぁ、明司さん』
右目を切りつけるように位置する古傷。煙草を吹かす、それなりの年齢の端正な顔の男性。
梵天相談役・明司武臣。
昔は臣くん、Aと呼び合っていたが、今では明司さん、御巫と互いに線引きしてある。
「聞いたぞ、ワカを連れ込んだって。何でそんなことした。アイツはオレらとはもう関係ねえだろ」
明司から感じるのは明確な怒りだった。
それでも、私は。
『少しだけ』
「あ?」
『少しだけ、だから。もう一度ワカくんと居たいの。大丈夫、その時までだから』
「……御巫?」
『私、もう行きますね』
背を向けて長い廊下を歩き出す。
「A、どういうことだ！！」
久し振りにかつてのように名前を呼ばれた。
その事実に泣きそうになる。
足を止めそうになる。
でも振り向かない。
言うつもりはない。
『もう手放せないんだ、仕方ないでしょう』
死ぬまでは。
きっと万次郎くんには色んな意味で限界がきているのは目に見えていた。
遅かれ早かれ何かが起これば、万次郎くんは自分から死ぬことを望むだろう。
それも私を道連れにして。
でなければ完成しない。
もう私は万次郎くんの一部に等しい。
今の佐野万次郎の辛い思い出の一部でもあり、かつての佐野万次郎の幸せな思い出の一部。
きっともうすぐその時が来る。
だから、その時まで。
その時までは私の人生の最愛の人との時間が欲しいって我が儘ぐらい許されるよね?
私が死んだら。
ちゃんとまた若狭くんが今まで通りの生活が出来るように手配するから。
私が死ぬまでは側にいてほしいの。
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セニオリス - きなこだいふくさん» 頑張ります!!ハッピーエンドにはならないと思いますが、最後までお付き合いしていただけると嬉しいです。 (2021年11月20日 15時) (
レス) id: cd823a214f (このIDを非表示/違反報告)
きなこだいふく - ヤバい、めっちゃ好きなタイプの作品だ......てっきりワカがヤンデレなんか？って思ってたけど夢主だった。重い純愛（？）大好きです！これからも更新頑張ってください！ (2021年11月20日 11時) (レス) @page9 id: df29fd2470 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セニオリス | 作成日時：2021年11月15日 22時
