十行目 ページ10
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別に、白鳥沢の負けを見るのは初めてじゃない。当たり前だ。全国に行けば地区予選よりも出場校が多いし、というか、負けないチームなんてその大会で一つしかない。負けたことがない人なんてこの世にいない。今日の敗北も、長く続く人生の一瞬でしかない。でもさとりちゃんは、この試合が最後のバレーになってしまった。瀬見くんも大平くんも山形くんも、これからバレーを続けるのかどうかなんてわからない。この部の三年生の何人が今日、ここでバレーをやめるのか、私にはわからない。
一つわかるとするならば、今日このチームでバレーをするのが、最後になってしまったことだ。だから、だから。
「知ってるよ。あたしがきっと、一番知ってる」
今日勝てていたら、もっともっとみんなのバレーを見ることができたのに。
「Aって自分が思ってる以上に、きっとバレー部のみんなのことが好きなのよ」
今日もあしたも、あの人が健やかに、バレーボールを楽しめたらいいのにと思う。あの人のいるチームが負けるのは嫌だから。あのひとは誰にもつかまらないから。願うことならば、あのひとが勝利を噛み締めて、笑顔でいてほしい。ずっと。これからも。
「ずっと見てきたんでしょ」
ぐるん、とみゆきちゃんの方へ振り向けば、あれ、びっくりした。曇りひとつない笑顔がそこにあったから。睫毛が揺れると彼女の瞳から星が零れたのかと思った。その笑顔は何かを決めたように、それは晴れやかで、青空のように美しい。
唇を噛み締めた。頬をかすめる風は人々の熱気で暖かく、涙の通り道を冷たく撫でた。それは流れる。あなたをもっと見ていたかったから。
頭を上げた彼と目があったから、いても立ってもいられなかった。
「若利くん！！！！」
無意識に大きな声が出た。集団の拍手を乱すくらいの大きな声だ。でも、他人に紛れることなんて出来ない。背中に刺さる視線も気にしてなんかいられない。立ち尽くしている時間なんてない。
「あとみんな！！」
「ついでだな」
「ついでだ」
「Aついで感やばいよ」
「そん、なごどないよ！！」
鼻水が垂れそうになって、ずず、と鼻をすすった。横からみゆきちゃんが慣れたティッシュをくれる。涙は拭いても拭いてもしょうがないくらい出ちゃうから、もう知らない。今、どんなひどい顔をしているか、知ったこっちゃない。
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あゆむ(プロフ) - 僕達はエンジェルさん» はじめましてー！小学生の頃から！？！すごい…拝啓シリーズも歴史ある作品になってきた気がしました、、笑この作品で若利を知っていただけて更に最推しだなんて嬉しいです！作者冥利に尽きます；；ありがとうございます！おかげさまで更新頑張れます！ (2020年9月16日 20時) (
レス) id: 67cd23fa6a (このIDを非表示/違反報告)
僕達はエンジェル(プロフ) - あゆむさん、はじめまして。小学生の頃から此方の作品を読ませていただいています。此方の作品こそ、私が若利くんを知ったきっかけなんです。今では推し。ハイキューの中では最推しとなってます。このシリーズ、大好きです。愛してます。応援してます！！ (2020年9月12日 23時) (レス) id: d588c749f9 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - 白猫さん» はじめまして！！読んでくださってありがとうございます；；めちゃくちゃこだわって書いてきたのでそう言っていただけてほんとうに嬉しいです…；///；これからも更新頑張れます！ありがとうございます！ (2020年8月21日 23時) (レス) id: 67cd23fa6a (このIDを非表示/違反報告)
白猫(プロフ) - はじめまして。先日この小説に出会うことができ、ゆっくり噛みしめながら読ませて頂きました。書き方や表現の仕方が私の好みドストライクで本当に大好きな作品に出会えて嬉しいです(o^^o)これからも、あゆむさんの描く若利くん拝ませてください！ (2020年8月13日 7時) (レス) id: 82d1d6768d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あゆむ
| 作成日時：2020年7月31日 18時
