【十二ページ目】拝啓 牛島若利様へ 【牛島若利】

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「なんか寂しくなっちゃった」
「うん。わたしもよ」
「将来怖いなあ。Aみたいに、キッパリ自分の将来決められたらな」
「決められてるよ？みゆきちゃん。宣言してたよ」
「ううん。あたしは自分にハッパかけないとだめなたちなの。将来に対して、不安がないわけじゃない」
「みゆきちゃんは大丈夫だと思うよ」
「ねえAなあに、あたしの何をみてそう思ってくれる？なんでそう思うの？！あたし不安なの！」
「急だなあ」
くすくす笑いがこみ上げて、笑い事じゃないとみゆきちゃんが口を尖らせた。そのままわたしの肩に乗っかっているみゆきちゃんの頭に頭を擦り寄せる。
「みゆきちゃんのだめなところもすごく良いところも全部見て言ってるよ。私にはみゆきちゃんの大切な将来のこと、憶測でものを言えないから、大丈夫だよって言ってあげることしかできない。みゆきちゃんの将来はみゆきちゃんだけのものだよ」
「……じゃあAから見てあたしのだめなところってなあに？」

「人のことまで全部やってあげようとするところ。みゆきちゃんは優しいからね。でももういいんだよ。みんな大人だから。みゆきちゃんはもう自分のやりたいことだけやっていいんだよ」





高校時代の思い出に胸を馳せると、途端にみんなに会いたくなりませんか？あなたの親友と、ちゃんと連絡をとっていますか。





「あのね、牛島の俺と一番仲が良いって言う発言がムカつくの。あいつそんなんじゃないじゃん。そのくせして全部自分のものにしようとするじゃん。欲張りなんだよ」
「あはは、そうかもしれないね。じゃあみゆきちゃんが一番だね」
「うん！」
さびしいという言葉はこれを隠していたんだな、とふと思う。若利くんとの口げんかの原因を見るに、この笑顔を見れば火を見るよりも明らかだ。みゆきちゃんはこういうところがたまに子どもらしくて、それでいて愛らしい。一番をもらったみゆきちゃんは満足げだ。そのうしろでさとりちゃんが「よがっだね゛」なんて恨めしそうな声を上げていたけど、何も言わないでおいた。同じなのになあ。
「よし。じゃあ若利を頼む」

みゆきちゃんを緩やかに剥がしてくれた大平くんに背中を押されて、三年を一緒に過ごしたみんなの輪の中を出た。二歩、三歩進んで振り返る。
「俺らもお前がすきだよ。卒業してもずっと友達だ」
山形くんが笑いながら言えば、「それは卒業式の日に言うんだよ馬鹿野郎……」って瀬見くんが顔を片手で覆った。
「ねえAちゃん！」

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