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四十一行目 ページ41

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「ソッコーってさー、何?」
ひょこっと後ろから声をかけてきたみゆきちゃんに驚いて、思わずわ゛!!なんて声が出た。恥ずかしさでゆっくりと少し目を伏せてしまった。
「簡単に言えば低い位置でボールをトスして、素早くアタックすることだな。意味わかったか?」
「わあ、英太どこから出てきたの?」
「俺も今さっきまで同じ競技に出てただろうが…」
追いついてくれたらしい瀬見くんの的確な説明にうんうんと頷くみゆきちゃんを横目に、若利くんを盗み見…と思ったら目があった。
「どうかしたのか」
「どうもしない!どうも…大丈夫…」
「何かあったから俺の方を見たんじゃないのか」
「何も…あ、速攻の話聞きたいな!速攻の話!何がおかしかったの?」

「とにかくチョー速いんだよーんAちゃん」
またビックリして、わ゛!なんて野太い声が出たせいで、恥ずかしさから手で顔を覆った。そんな私を、天童くんは面白そうに茶化した。
「そんなビックリする必要ないでしょAちゃん?俺のこと忘れちゃった?」
「忘れるわけないでしょ、今ビックリしただけ、だけだから…早く教えて、速攻とか…その学校とか…」
「ふうん、どうして気になるの?」
「え」
「Aちゃんは見たことないの?試合とか。春高は?」
「あっ……あー…」

天童くんは、ただ茶化しているようには見えなかった。まるで何か、私のことをわかっているみたいな口ぶりだ。でもどうしてこんな訊き方をするんだろう。ちょっとの間目があって、その間にハッと思い出した。自分が何者なのかを…牛島若利くんの熱烈なファンだということを…。
試合には常連のレベルで通いつめて見ている。天童くんは聡いから嘘をつけない、というより若利くんの前でもう嘘を重ねたくない。
でもなんでこんな風に?えっ、私が見てたの気づいてるの?天童くんが?まさか…気づいてたならもっと早く、教えてくれるはず…でもなんで?どうして…?

「春高はテレビで、決勝戦見たり…」
「そっか。オッケー」

何がオッケーなのか全くわからなくて、彼の一挙手一投足全部に注目してしまう。

「烏野の一年生コンビだったっけ?まあ名前までは知らないけど、決勝に上がって来られるほど実力が無いなら、気にするほどでもないんじゃないの?ね、Aちゃん」

天童くんは、たまに怖いくらい聡い。

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ゆに(プロフ) - あゆむさんの物語の書き方、構成、全部好きです!これからも更新頑張ってください。ずーっと応援しています!! (2019年1月5日 13時) (レス) id: 2609f34306 (このIDを非表示/違反報告)
ゆに(プロフ) - 覚編も合わせ全編読ませていただいています! (2019年1月5日 13時) (レス) id: 2609f34306 (このIDを非表示/違反報告)
梅星饅頭(プロフ) - ご、ご本が出るんですか!??これは買わないといけない……ア"ッ分かります需要と供給がまっったく一致していないですよね…つらい! 今年も一ページ目から一文字一文字若利くんの尊さを感じて新年迎えさせていただきます。お体に気を付けて あゆむさまもよいお年を! (2018年12月31日 23時) (レス) id: baf07f2d20 (このIDを非表示/違反報告)
くー(プロフ) - 本だァ“ァ“ァ“ァ”ァ“ァ”!!!めっちゃ楽しみにしてます!!!! (2018年12月23日 15時) (レス) id: 4b69e817ff (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - 本めちゃくちゃ欲しいです!!書籍化になるのを楽しみにしています。 (2018年12月23日 15時) (レス) id: 0e45367a12 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あゆむ | 作成日時:2017年12月28日 20時

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