四十行目 ページ40
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こんなふうに、こちらを期待に満ちた眼差しで、私が何か言うまで、この肩に置いた手を離さない、って言いたげな若利くんより、笑っちゃうくらい、怖い。
「す！すごいあの…見たいなあって思います！」
その瞬間、やけにしかめっ面したみゆきちゃんの顔を、私はこれからも忘れることはないんだろう。
若利くんの手が、ゆっくりと肩から離れた。そのまま滑るように自分の脛に手を置いて、膝に顔を預けると、どこかやけに嬉しそうな顔をしながら、「見にくるか？」なんて問いかけてくれる、若利くんの顔も、きっと、これから、忘れることはないんだろう。
忘れたくない思い出が、忘れたい思い出を全部埋め尽くしてくれればいいとは思うんですけど、中々難しいですよね。これも悪い癖のうちに、入るのでしょうか。
最近、みゆきちゃんは私と若利くんが喋っているだけで「イチャつくのやめましょう」って言うせいで、シャキッと立ち上がらなくてはならなくなった。今もそう。座席に戻る最中に、隣をとぼとぼ歩いくだけだ。でもそれだけじゃ寂しいし、欲張りになったせいもある。だから、こうやって話しかけたくなるのも、致し方がない！
「若利くん、今回も………凄かったんだね、試合」
ここまでくると罪悪感がすごいなあ！見たことあるのに！というかずっと見てるのに！本人に出会う前から見てるだなんて恥ずかしくて言えない！ファンです、なんて今更言えない！恥ずかしくて！言えない！
「ああ」
まるで人伝に聞きました、風に自分の見ているものを語ると、彼らは面白そうに口角を上げた。
「なんか、なんというか…楽しかった？」
若利くんに嘘を交えると、途端に自分の口がしどろもどろにしか動かなくなる。そういえば、若利くんに隠し事はしない！って約束したのに、こんな重大な秘密をずっと隠していたの、私…？それが普通だったから…？ああ…罪だ…最悪だ…若利くん、こんなにニコニコしてくれるのに…私…なんてこ「おかしな速攻を使うチームがある」
「そっそうなの！！」
私、同じもの見たかもしれない！と危うく伝えそうになって、口を噤んだ。
「烏野だったか？」
「おー、それだ。あれ、見てて面白かったな。上がってくるかと思ったけど、流石にそりゃなかったな。相手は青城だし」
及川くん頑張ってるもんね、とも言いそうになって慌てて口を閉じた。
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ゆに(プロフ) - あゆむさんの物語の書き方、構成、全部好きです！これからも更新頑張ってください。ずーっと応援しています！！ (2019年1月5日 13時) (
レス) id: 2609f34306 (このIDを非表示/違反報告)
ゆに(プロフ) - 覚編も合わせ全編読ませていただいています！ (2019年1月5日 13時) (レス) id: 2609f34306 (このIDを非表示/違反報告)
梅星饅頭(プロフ) - ご、ご本が出るんですか！？？これは買わないといけない……ア"ッ分かります需要と供給がまっったく一致していないですよね…つらい！ 今年も一ページ目から一文字一文字若利くんの尊さを感じて新年迎えさせていただきます。お体に気を付けて あゆむさまもよいお年を！ (2018年12月31日 23時) (レス) id: baf07f2d20 (このIDを非表示/違反報告)
くー(プロフ) - 本だァ“ァ“ァ“ァ”ァ“ァ”！！！めっちゃ楽しみにしてます！！！！ (2018年12月23日 15時) (レス) id: 4b69e817ff (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - 本めちゃくちゃ欲しいです！！書籍化になるのを楽しみにしています。 (2018年12月23日 15時) (レス) id: 0e45367a12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あゆむ
| 作成日時：2017年12月28日 20時
