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三十四行目 ページ34

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どこからともなくやってきたのは早馬くんだった。何組だったっけ…と思ったのはさておき、彼は溌剌とした笑顔を浮かべながらデジカメを手にしている。おいでおいでと手招きする彼のために立ち上がると、瞬時に手を引っ張られてお尻が椅子にくっついた。
「別に写真なら思い出だし…」
「ダメ!!!A!!アイツバンドマンだよ!?!付き合っちゃいけない3B!!!曲にされるよ!?写真関連の曲に!!!」
「付き合わないから安心して」
「未練タラタラの俺にそんなこというの?ひどくね?」
「危ない!!!アイツそのうち会いたくて会いたくて震えだすよ!!Aちゃん逃げて!!」
「お…おおげさだね天童くんも…」

二人対一人の熱い口論している最中に、ふと運営側のテントの下を見た。慌てている様子もなく、淡々と仕事を熟しているようだ。後輩たちへの指示もテキパキしているし、先生に屁理屈をつけられるようなこともなさそうだ。開始直後はよくバタバタするのに、彼らは笑顔を浮かべている。よかった、委員長の熱意が上手く下に浸透しているようだ。引き継ぎが上手くいってるみたいでよかった。あとでこんにゃくばたけ差し入れしにいかなきゃな。「大葉さん!」
「はっはい!」
「写真撮ってくれる?」
「うん、いいよ」
恐る恐る二人に目を配ると、彼らは不満を思いっきり顔に貼り付けている。でも天童くんとみゆきちゃんもどうにかこうにかして説き伏せられたみたいだ。一体どうやって…?と思いつつ、まあ良いかと思って立ち上がると、彼らもすくっと立ち上がった。めっちゃ背筋よかった。
「えっ」
「わたしたちも思い出の一部にして〜〜!!早馬く〜ん!!」
「早馬ク〜ン!!」
「うわマジかよ!」
ぐだぐだと文句を垂れる早馬くんは、一回りは背の高い天童くんにさっさと動かされ、私はみゆきちゃんと天童くんの間に挟まれた。
「俺の思い出〜!!」
「はあ?思い出にしてやってんだろバカタレが」
「あのさ…黒川ってこんな怖いやつだったの…?」
「えっ…聞いたA…あたしのこと怖いって言ったこのクソ…」
「ひどいねえ」
「いや待てよ!今の俺に対するクソ発言は!?」
「俺らが転んでタダで起き上がるとかありえなくない?ねェ〜若利君」
「そうだな」
「わ゛!?!若利くん!?!なんでいるの!?」
「お前と写真を撮りに」
「見たかこの対応の差を」
「これだけあたし同情してあげるね…」

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ゆに(プロフ) - あゆむさんの物語の書き方、構成、全部好きです!これからも更新頑張ってください。ずーっと応援しています!! (2019年1月5日 13時) (レス) id: 2609f34306 (このIDを非表示/違反報告)
ゆに(プロフ) - 覚編も合わせ全編読ませていただいています! (2019年1月5日 13時) (レス) id: 2609f34306 (このIDを非表示/違反報告)
梅星饅頭(プロフ) - ご、ご本が出るんですか!??これは買わないといけない……ア"ッ分かります需要と供給がまっったく一致していないですよね…つらい! 今年も一ページ目から一文字一文字若利くんの尊さを感じて新年迎えさせていただきます。お体に気を付けて あゆむさまもよいお年を! (2018年12月31日 23時) (レス) id: baf07f2d20 (このIDを非表示/違反報告)
くー(プロフ) - 本だァ“ァ“ァ“ァ”ァ“ァ”!!!めっちゃ楽しみにしてます!!!! (2018年12月23日 15時) (レス) id: 4b69e817ff (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - 本めちゃくちゃ欲しいです!!書籍化になるのを楽しみにしています。 (2018年12月23日 15時) (レス) id: 0e45367a12 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あゆむ | 作成日時:2017年12月28日 20時

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