三十一行目 ページ31
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「可愛いな」
「はは…えへへ…そうかな〜?…はは…」
「やっぱり、Aは三つ編みが物凄く似合うと思う」
「あはは…はい…」
「この花は造花か?」
「はい…」
「可愛いんじゃないか」
「アハッ……いやあ…えへへ…」
手を替え品を替え、私に可愛いを、たぶん率直な感想に乗せて言い続ける若利くんは実に楽しそうだ。若利くんが楽しいなら私も楽しい!でも今はそうじゃない。
恥ずかしさでいつ死ぬかわからないし、みゆきちゃんの方向から「夫婦〜」とか聞こえてくるし、私のために若利くんが屈んでくれているおかげで顔が近くて、いやにドキドキする。だって顔が好きなんだもん、直視できないのしかたないじゃん…。声も好きなんだもん…近いな…めちゃくちゃずるいな…ずるいなあ〜…。
手で顔を隠してから彼の嬉しそうな言葉を聞いていると時間がどんどん伸びていく。彼は周りの目なんか気にならない人だから、なんにも気にしていないようだ。憧れの牛島さんが、唐突に現れた女子とお話してるから、きっと噂される。しかし!若利くんはきっとそんな噂も気にしない。全部実力で黙らせる。
住む世界が違うんだろうな、と思ってた。それとも、住む世界がこれから変わっていく人なんだろうな、と思ってた。でも、今は違う。
ずっと同じ世界で過ごしていたくてたまらない。
「若利くんもかっこ……待って」
「どうした?」
「見せて」
若利くんの深緑の、艶のあるサラサラな前髪が、おでこに、ない。
「なん……なんで…?」
「お前が前髪を切るって言ったくせに切らないせいだな」
「え!?!そうだけど!でも!でも!なんで!」
髪あげてるの〜〜!?!?
なんて私の悲痛な叫び派喉の奥深くに押し込まれた。だってカッコいいから。というかかっこいいが過ぎるから。え、カッコいい…女の子に噂されちゃう…もっとファンが増えちゃう…みんな好きになっちゃう…。
「お前のために伸ばしてたら邪魔になった」
「わ゛っ!?ゴホッゴホッ!!」
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃない゛!!全然!」
まるでどうして?とでも訊きたげな彼に牛島若利くんの格好良さについて説明してあげようかと思った。もう好きを通り越して怒りすら覚えるくらいだった。だって私の好きな人はこんなにカッコいい!みんな好きになっちゃうから!
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ゆに(プロフ) - あゆむさんの物語の書き方、構成、全部好きです!これからも更新頑張ってください。ずーっと応援しています!! (2019年1月5日 13時) (レス) id: 2609f34306 (このIDを非表示/違反報告)
ゆに(プロフ) - 覚編も合わせ全編読ませていただいています! (2019年1月5日 13時) (レス) id: 2609f34306 (このIDを非表示/違反報告)
梅星饅頭(プロフ) - ご、ご本が出るんですか!??これは買わないといけない……ア"ッ分かります需要と供給がまっったく一致していないですよね…つらい! 今年も一ページ目から一文字一文字若利くんの尊さを感じて新年迎えさせていただきます。お体に気を付けて あゆむさまもよいお年を! (2018年12月31日 23時) (レス) id: baf07f2d20 (このIDを非表示/違反報告)
くー(プロフ) - 本だァ“ァ“ァ“ァ”ァ“ァ”!!!めっちゃ楽しみにしてます!!!! (2018年12月23日 15時) (レス) id: 4b69e817ff (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - 本めちゃくちゃ欲しいです!!書籍化になるのを楽しみにしています。 (2018年12月23日 15時) (レス) id: 0e45367a12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あゆむ | 作成日時:2017年12月28日 20時