十八行目 ページ18
.
みゆきちゃんが気怠げに席を立って一分。四時間目の授業を開始するチャイムが鳴り響いた。時間ぴったりに行動する生物の先生のおかげで現実に引っ張られる。彼がこの教室にやってくるのも残すところ一時間後になった。
それとあなたはSNSをやったりしないんですか？及川くんは相変わらず人気者ですし、影山くんまでSNSをやってるんですからあなたもやるべきですよ。楽しみにしてますね。
「若利くん、あのね、隣に座られると集中できないの」
「ん」
「若利く〜ん？？？聞いてる〜？？」
「…ねむい」
嘘でしょ…若利くん私の肩にもたれかからないで…こんなことしたらまたあらぬ疑いが…と脳内で警報が鳴り響くがそんな警報は若利くんの「まだやるのか？」で掻き消された。彼の重低音で主に私の耳によく響く緩やかでしっとりとした声がするりと内耳に入り込んでくるともう他が何も聞こえない。
「ご飯いっぱい食べた？」
「食ったな」
「授業は寝ちゃダメだよ」
「ん」
「あと肩重いからどいて」
「いやだ」
「ハア……ハア〜〜……ハア…」
川西くんはよくこちらをチラッチラ見てくるけど五色くんは黙々とできてすごい。普段仏頂面の寡黙な先輩が日常ではこんなだとかもしも私が知ったら動揺せずにはいられなくなる。こんなの勉強の邪魔だとわかっていても若利くんを跳ね除けるすべを私は持っていないので、テスト中、動揺しない力として備わってくれることをただただ祈るばかりだ。
「気が散るじゃん。牛島席交代しなよ」
「嫌だ。ここがいい」
「寝るなら突っ伏して寝ろ！Aの邪魔！」
「うるさい」
みゆきちゃんと若利くんは徹底抗戦を続けている。目の前のみゆきちゃんの表情がこれまた恐ろしくてどこにも目を向けられない。「これ数��Aですよね？解き方わからなくなりました…」
「ああこれ知ってる…これねめんどくさいんだけど三角比の応用だし今くらいの模試じゃなんとかなると思うから、」
ひっついてくる若利くんかわいいね、すっごくかわいいよ。ぽかぽかしてるの？そっかあかわいいねえなどと抜かしてはいられない！！若利くんが若利くんである限りくっつかれると喉元を閉められたような緊張感が私の脊髄に走る。
「あーーーー若利君さあ。Aちゃん、お勉強中でしょ！」
突然声をあげた天童くんに驚いてぱっと顔を向けた。彼は珍しく若利くんに対して目を細め、眉間にしわまで寄せている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 714人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆに(プロフ) - あゆむさんの物語の書き方、構成、全部好きです！これからも更新頑張ってください。ずーっと応援しています！！ (2019年1月5日 13時) (
レス) id: 2609f34306 (このIDを非表示/違反報告)
ゆに(プロフ) - 覚編も合わせ全編読ませていただいています！ (2019年1月5日 13時) (レス) id: 2609f34306 (このIDを非表示/違反報告)
梅星饅頭(プロフ) - ご、ご本が出るんですか！？？これは買わないといけない……ア"ッ分かります需要と供給がまっったく一致していないですよね…つらい！ 今年も一ページ目から一文字一文字若利くんの尊さを感じて新年迎えさせていただきます。お体に気を付けて あゆむさまもよいお年を！ (2018年12月31日 23時) (レス) id: baf07f2d20 (このIDを非表示/違反報告)
くー(プロフ) - 本だァ“ァ“ァ“ァ”ァ“ァ”！！！めっちゃ楽しみにしてます！！！！ (2018年12月23日 15時) (レス) id: 4b69e817ff (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - 本めちゃくちゃ欲しいです！！書籍化になるのを楽しみにしています。 (2018年12月23日 15時) (レス) id: 0e45367a12 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あゆむ
| 作成日時：2017年12月28日 20時
