二行目 ページ2
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「俺はお前と何も話さなかった間に、色々なことを考えた」
ヴッと言葉が詰まる。彼が少しでも気にしていたんだと思うとどうしようもなく嬉しくて、本当に馬鹿みたいだ。隣を歩く牛島くんの速さにこの上なく好きだと思う。
「まずお前を初めて見つけた時のことを振り返った」
「見つけたって、見つけたのは私の方でしょ、牛島くんは迷子だったんだよ」
「いいや、お前の後ろ姿を見かけて声をかけたのは俺だ」
「もう。牛島くんのがんこ」
彼は私を見下ろしながらうっすら微笑むと、まっすぐ前を向いて「そうだ。ここで会ったんだ」と呟いた。
私も、慌てて前を向いた。彼に見惚れていたものだから、ちょっとどきっとした。
そこはもう長らく降りてなかったバス停だった。本を読む暇もないくらいな日々だったから、通り過ぎるだけのバス停がそこにはあった。大きな横断歩道、よく覚えてる。忘れもしない。
夕方は人気が少なくって、空の赤よりのオレンジがいつも映えていた。
「…ここに来たかったの？」
「そうだ」
牛島くんにしてはなんだかロマンチックだったから、期待する気はなかったのに、彼はすんなりと、素直にそれを口にした。彼はそれが当然、とでも言いたげな顔をしていた。
「俺とお前があった二年のことを考えたら、ここに来たくなった」
「…そうなんだ。あっという間だね、二年。短いね」
「あれから俺は、お前に勉強を教えてもらうようになったな。それに、仲良くなったと思う、だから、俺はそうは思わない」
「…そうだね」
「体育祭も、文化祭もだが、考査の時もバレーボールも、修学旅行も、夏休みも冬休みも初詣も。俺が奏我に嫉妬してお前と喧嘩をした時も、お前が怪我や病気を患った時も」
「いまっっ！！聞き捨てならないことが聞こえたけど触れないでおくね！！」
「そうしてくれ」
「お前と出逢ってわかったことがある」
「な、に」
「一日の密度が濃くなった」
牛島くんはふわふわしている。もしかしたら私が自分自身を救うために作った妄想で、だから、私が嬉しく思うことを言ってくれるんじゃないんだろうかと思う。本当に蜃気楼だったらどうしようと思う。
「…なにそれ」
「俺の毎日がバレーボールだけじゃなくなった、という意味だ」
「うん、」
「お前がそばにいる」
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ゆに(プロフ) - あゆむさんの物語の書き方、構成、全部好きです！これからも更新頑張ってください。ずーっと応援しています！！ (2019年1月5日 13時) (
レス) id: 2609f34306 (このIDを非表示/違反報告)
ゆに(プロフ) - 覚編も合わせ全編読ませていただいています！ (2019年1月5日 13時) (レス) id: 2609f34306 (このIDを非表示/違反報告)
梅星饅頭(プロフ) - ご、ご本が出るんですか！？？これは買わないといけない……ア"ッ分かります需要と供給がまっったく一致していないですよね…つらい！ 今年も一ページ目から一文字一文字若利くんの尊さを感じて新年迎えさせていただきます。お体に気を付けて あゆむさまもよいお年を！ (2018年12月31日 23時) (レス) id: baf07f2d20 (このIDを非表示/違反報告)
くー(プロフ) - 本だァ“ァ“ァ“ァ”ァ“ァ”！！！めっちゃ楽しみにしてます！！！！ (2018年12月23日 15時) (レス) id: 4b69e817ff (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - 本めちゃくちゃ欲しいです！！書籍化になるのを楽しみにしています。 (2018年12月23日 15時) (レス) id: 0e45367a12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あゆむ
| 作成日時：2017年12月28日 20時
