四十三行目 ページ43
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店員さんを呼び、みんな口々に食べたいものを頼んで、ドリンクバーのために席を立つ。
「じゃああたしとAで行ってくるからー」
選り取り見取りの炭酸系ドリンク。あのあからさまに身体に悪いですっていう感じの飲料水が好きで、どれを選んでもいいのだが、メロンソーダが飲みたい。でもコーラも捨てがたい。
「また飲みに来ればいーじゃんA!」
「二杯はさすがにやばい気がする…」
「あたしカルピス〜」
結局メロンソーダを選んで席に戻ってきた。しゅわしゅわと舌の上で弾ける感覚がすきで、いつまでも飲んでいたい気分になる。そうして次々にみんなが取りに行き、天童くんと牛島くんがドリンクバーから戻ってきた時、牛島くんはメロンソーダを持って帰ってきた。理由を尋ねた時「お前が飲んでいて美味しそうだったから」と返されて天にも舞い上がる気持ちだった。
すると、ほどなくして山形くんが真っ青な顔して帰ってきたのだ。「やばい…あいつらが…!」とハリウッド俳優が死に際に言いそうな台詞をつけて。
「こちらのお席にどうぞ」
「岩ちゃん何食べる?俺ねー」
「珍道中やってなかったもんな、よくよく考えれば今日元日じゃん?」
「及川おめーシュークリームの乱を忘れちゃねーだろうな?」
「何それめっちゃ面白そうとおるきかせて」
「「あ」」
さっきまであんなにも賑やかだったのがまるで嘘のように凍った空気。外から舞い込んできたみたいな風が通路を通り抜けていく。三秒ほどの沈黙が続き、口火を切ったのは青城側だ。
「ここであったが百年めえええ」
「いけ及川!噛み付く!」
「ぽけもんじゃない」
「姉ちゃん!!殺される!!助けて!!」
すごく、他人行儀な態度を取りたい。いや、家族であっても他人は他人、個人とは違う者だから、他人なのではないだろうか?「助けて!この体育会系の怖いお兄さんたちから!可愛い弟を!」そうだった、あそこにいるのは両親の全ての遺伝子に愛されて素晴らしい密度で調合された顔を持つ無神経なまでに馬鹿で無駄に顔がよく、そして私をその類稀なる成長期でどんどん身長の差をつけていった可愛い弟…。
「今何を考えた?その間は何?絶対助けなくてもいいって思ったな?」
「いやそんなことないよ、私がいついったの?可愛い義弟だから…」
「呼び方が変わりすぎなんだけど?まって!俺を置いてかないで!」
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ぽもん(プロフ) - 主人公ちゃんがインフルになった出来事の電話のところで思わず泣いてしまいました。作者様の語彙力にも毎回驚いています。続編も読むのが楽しみです。 (2017年10月27日 14時) (レス) id: 28958b8036 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - 小粒納豆さん» 小粒納豆さーん!!私の世界観…!すごい響きですね…一年という時間が経つのは早いものですね!彼を好きになって良かったなあと切実に思います…私はこれからも文字量産おばけとして頑張ります!ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2017年1月4日 1時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - モロモロさん» ありがとうございます!何度も読むと味が出る作品でありますように笑 沢山伏線を巡らせたはずなので探してみてください笑 (2017年1月4日 1時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - セイラさん» はああさぞかし長かったことでしょう…ありがとうございます…!私も書いているとどんどん若利のことが好きになります!私も勉強しなくては、と思います笑 中々上手くいかなくても努力は大切ですよね…!;;更新頑張ります! (2017年1月4日 1時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - 甘奈さん» 本の生産を考えると赤字すぎて震え上がるので笑 そりゃあ濁しますよ!濁しまくりです!悶々としながら作品を読んでください!笑 ありがとうございます! (2017年1月4日 1時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あゆむ | 作成日時:2016年11月6日 18時