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十九行目 ページ19

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あっという間に時は過ぎ十二月考査二週間前。でも一日過ぎたから、正確には十三日前だ。あっという間に、と思ったけれど過ぎたのは一週間とかそのくらいだ。寒さと近づいてきた考査と、いっとうの活躍をし始める私のノート。確か今日も出張中である。

「今日も一段と冷えるね」
「そーねー…。あれ?ブレザー脱がないの?」
「なんかすんごい寒いから、まだいいや」
「大葉、くれぐれも風邪はひくなよ」
「ひかないよ〜、元気だよ」
とは言ったものの、正直寒気が止まらないというか、なんというか、これは冬だから寒いということではなさそうだ。

そして極め付けといえば、母と弟にインフルエンザ疑惑が出ていることである。
インフルエンザの潜伏期間は通常二日間。春人の疑惑の浮上は今朝。

今、お父さんが二人を病院へ連れ出している。天童くん並みに今日の私は勘が冴えている気がするのは、気のせいだろうか!私は何度春人の飲み残しのお茶を飲んだことだろうか?嫌な予感が思考を駆け巡る。嫌な予感しかしないのだ。

「そんなに寒いのか?」
「うん、なんかわからないけれど」
席に着いたら唐突に牛島くんに話しかけられ、少しどきりと心が跳ねたところで、天童くんがやって来た。

「部屋けっこー暖房効いてるよ」
「そんなに…?」

私は寒くてならないのだが、その様子を怪訝に思ったのか、牛島くんが「俺のジャージを貸すか」と尋ねてきた。
「ヘッ」
「お!いいじゃんいいじゃんもっと積極的に貸していけよ牛島」

この怪しい状態のままジャージを貸してもらえるだなんて、幸せで舞い上がりそうだが、そんなことは出来ない。みゆきちゃんもノっからないでほしい。貸してもらえることなら存分にお言葉に甘えたいけれど、最近自分は欲求に忠実すぎる。甘えすぎてはだめだ。絶対に足をすくわれる。

「大丈夫!大丈夫だよ!」
「だがな」
「ううん!大丈夫だって!お気遣いなく!」

「本当にいいのか?」
わざわざ目線を合わせてくれた彼にときめきを隠せず三秒ほど見つめあってしまったが、私は意志を固くし、それを口に出す。本当はお言葉に甘えたくて仕方ないけれど。

「うん、いいの、何もしてくれなくていいの。いつも気を遣ってくれてありがとう」

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ぽもん(プロフ) - 主人公ちゃんがインフルになった出来事の電話のところで思わず泣いてしまいました。作者様の語彙力にも毎回驚いています。続編も読むのが楽しみです。 (2017年10月27日 14時) (レス) id: 28958b8036 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - 小粒納豆さん» 小粒納豆さーん!!私の世界観…!すごい響きですね…一年という時間が経つのは早いものですね!彼を好きになって良かったなあと切実に思います…私はこれからも文字量産おばけとして頑張ります!ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2017年1月4日 1時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - モロモロさん» ありがとうございます!何度も読むと味が出る作品でありますように笑 沢山伏線を巡らせたはずなので探してみてください笑 (2017年1月4日 1時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - セイラさん» はああさぞかし長かったことでしょう…ありがとうございます…!私も書いているとどんどん若利のことが好きになります!私も勉強しなくては、と思います笑 中々上手くいかなくても努力は大切ですよね…!;;更新頑張ります! (2017年1月4日 1時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - 甘奈さん» 本の生産を考えると赤字すぎて震え上がるので笑 そりゃあ濁しますよ!濁しまくりです!悶々としながら作品を読んでください!笑 ありがとうございます! (2017年1月4日 1時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あゆむ | 作成日時:2016年11月6日 18時

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